2011年8月3日(水)「しんぶん赤旗」
法曹養成は給費制でこそ
日弁連、制度維持求め集会
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司法修習生の給費制の維持を求めて日本弁護士連合会(日弁連)は2日、「司法修習の意義から給費制を考える院内集会」を開き、衆参の国会議員や弁護士、法律家をめざす青年ら230人が参加しました。
給費制の存続をめぐっては、財務省や法務省などでつくる「法曹の養成に関するフォーラム」で議論され、8月中に結論を出すとしています。
あいさつした日弁連の宇都宮健児会長は「64年間も続いた給費制を貸与制に変更することは、戦後の『統一修習』という法曹養成制度の土台をゆるがすことだ。それなのに『フォーラム』では、修習生が貸与されたお金を返済する資力があるかどうかという議論をしている。これは法曹養成という国の道筋を誤る議論だ」と、批判しました。
日弁連の調査でも法律家を目指す法科大学院生が多額の借金をしているのが実態です。貸与制に移行することで、修習中の生活費などで新たに300万円の借金が加わることになります。
発言した京都産業大法科大学院の男性は「強い志を持っていた友人が『借金が1000万円になるのは怖い』と法律家の道を断念した。300万円の新たな借金は仲間の志をつぶすものだ」と実態を報告しました。
集会では、各党の国会議員があいさつ。日本共産党の大門実紀史参院議員は「給費制を廃止するのは、法律家の養成に受益者負担を持ち込むということだ。この問題を正面にすえて、ご一緒にたたかいたい」と発言しました。
民主党や自民党、公明党議員からも「給費制は不可欠。これをなくして法曹の未来はない」などの発言が出ました。
給費制の廃止 2004年の裁判所法“改正”で、2010年11月に、国が修習生に生活資金を貸す貸与制に移行するとしましたが、全国的な運動で同月に廃止の1年延長が決まりました。戦前は、判事と検事だけしか、研修中の給与はありませんでした。
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