2011年8月3日(水)「しんぶん赤旗」
雇い止めソニー 再就職“紹介”
勤務地フィリピン
期間社員「家族いる。ばかにするな」
東日本大震災を口実に宮城県で期間社員150人全員の雇い止め計画をすすめているソニーは、宮城県に事情を聞かれ、新しい就職先の紹介・あっせんをしていると説明していることが分かりました。ところが、実際に紹介された求人情報は、非正規雇用で就業先が県外のものがほとんどで、なかにはフィリピン勤務もあり、期間社員は「家族がいるのに、ばかにした内容だ」「ソニーが責任をもって雇用継続すべきだ」と声をあげています。
雇い止め通告を受けた仙台テクノロジーセンター(多賀城市)の期間社員のうち22人が、ソニー労働組合仙台支部(電機連合加盟)に加入し雇用継続を求めています。
ソニーに就職あっせんを委託された派遣会社が6月に行った説明会で、期間社員に渡された求人情報を見ると、19件の求人はすべて非正規雇用で、住所が宮城県内となっているのは1件しかありません。
宮城県内という求人もよく見ると、「その他条件」欄に「3日程度研修後フィリピン工場へ」と書かれています。
ほかの仕事には、時給900円のものもあり、ソニーでの時給1200円を下回るものばかり。しかも、寮費が最低でも4万円かかります。
期間社員には、妻子がいる人も多く、これに応じることは不可能です。また働き盛り世代が被災地から流出すれば、復興への打撃となります。
仙台テクノロジーセンターの浸水被害は、保険金でほぼ全額まかなわれることが決算で明らかになっています。ソニーの役員報酬はハワード・ストリンガー会長が8億8200万円、中鉢良治副会長2億588万円はじめ6人で17億8064万円にものぼります。雇用を守る体力は十分にあります。
ソニーの解雇問題は、日本共産党の山下芳生参院議員が7月22日に国会で「政府の復興構想会議に委員を出しているソニーが被災地で首切りをするなんて許されるのか」と質問し、菅直人首相が「震災を理由とすれば解雇や雇い止めは無条件に認められるものではない」「事情を関係者に聞く」と答えています。
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