2011年8月4日(木)「しんぶん赤旗」
原水爆禁止世界大会国際会議
緒方靖夫党副委員長(国際委員会責任者)の発言
原水爆禁止世界大会国際会議で3日、日本共産党の緒方靖夫副委員長(国際委員会責任者)が行った発言は次の通りです。
|
核兵器のない世界を実現するたたかいは今日、運動と世論の攻勢を強めるべき時を迎えています。私は最近参加した二つの国際会議で、そのことを痛感しました。
一つは、5月末、インドネシアで開催された非同盟閣僚会議に日本AALA代表団の一員としてゲスト参加した時です。
120カ国が加盟する非同盟の閣僚会議は、核保有国による核軍縮がすすまないことに懸念を表明しつつ、核兵器廃絶こそ「最優先事項」という非同盟の立場を再確認し、「時間を区切っての核兵器完全廃絶の計画に合意する目的で、可能な限り早期に核の危険を一掃する方途と手段で一致をかちとるための国際会議を呼びかける」と明記しました。これは、2010年NPT(核不拡散条約)再検討会議での、核兵器完全廃絶のために「遅滞なく包括的、完全な核軍縮についての交渉を始める」という合意を履行する立場です。
非同盟の議長国であるエジプトのエルアルビ外相は、「革命を経たエジプトは、議長国としていっそう大きな責任感をもち、核兵器廃絶をはじめいっそう大きな仕事をすすめる」とのべ、参加者から大喝采を受けました。マレーシアのアマン外相は「核兵器全面禁止こそ問題解決の唯一の道」と強調し、「核兵器禁止条約の多面的な交渉の開始」をよびかけました。
核兵器禁止条約締結のための交渉を遅滞なくすすめることをすべての政府に促す、今年2月から開始された「核兵器全面禁止のアピール」国際署名は、まさに時宜にかなっていると確認できます。
もう一つの国際会議は、6月初めのマレーシアでのASEAN(東南アジア諸国連合)の准政府系戦略研究所(ISIS)の会議です。そこでは、核兵器廃絶への具体的な措置として、東南アジア非核兵器地帯条約(SEANWFZ)議定書に核保有5カ国の署名を働きかける方向がうちだされ、その後、直接交渉の日程が具体化されつつあります。北朝鮮の核問題でも、6カ国協議の再開の機運が高まっており、こうした個々の問題での前進は、重要です。
世界大会は、核兵器廃絶を求める世界の政府、自治体、NGO、市民の力の結集の場となり、今日の情勢をつくるうえで重要な貢献をしてきました。今年の大会は、この1年間の世界各地の豊かな運動を集約し、方針を練り上げる場にすることが強く期待されています。
東日本大震災に伴う原発事故は、日本はじめ世界に大きなインパクトをもたらしましたが、この機会に、日本共産党の「原発撤退提言」について一言紹介させていただきます。
私たちはいま、放射性物質が外部に放出されたならば、それを完全に抑える手段は存在せず、被害を、空間的、時間的、社会的に限定することは不可能となるという原発特有の「異質な危険」を実体験しています。さらに、現在の原発は本質的に未完成で危険なものであり、安全な原発などありえません。私たちは原発と共存することはできないと考えます。
私たちは「原発からの撤退」の一点での幅広い共同をつくりあげることを目指しています。同時に、撤退にはすべて賛同できなくても、原発の危険から命と健康を守る要求で一致するなら、ともに行動する広い連帯をよびかけています。
原子力で大量殺りくをはかる核兵器が人類と共存できないことは自明です。「核兵器のない世界」の実現のために引き続き力を尽くしましょう。