2011年8月11日(木)「しんぶん赤旗」
“新造船 三陸の海走れ”
水産業者が進水式 宮城塩釜
|
宮城県塩釜市の水上漁港で10日、水産加工業者が建造した漁船の進水式が行われました。東日本大震災から5カ月、宮城県側の三陸海岸では震災後初めての進水式です。
船を建造したのは、同市の水産加工会社「シーフーズあかま」の社長、赤間廣志さん(62)です。同社はワカメなどの養殖や水産物の加工を手がけていますが、津波で船3隻や養殖に使う漁具など約1500万円の被害を受けました。
震災当初は「ぼうぜんとした」という赤間さん。しかし、「津波なんかに負けていられない」と喪失感から立ち上がりました。「漁民魂ですね」と力強く笑います。
ワカメの養殖を再開するには、種付けを急がなければなりません。「とにかく船が要る。船がないと始まらない」。遅々としてすすまない国の援助を待ちきれませんでした。負担がおおきくなりますが、銀行から新たな融資を受けて4月から漁船建造の準備を開始。晴れて新しい漁船の進水式を迎えました。
8トンの船の名前は「丸廣丸」。完成した船を見て赤間さんは「漁民の希望は船、これで一安心ですね」といいます。「これから先、自分が船を作ったことで、他の漁民の励みになると思う。やる気に満ちた漁民が先導をして、みんなを引っ張っていかなきゃならない」と意気込みを熱く語ります。
進水式には、水産業関係者ら約30人が集まりました。昨年のチリ津波で被害が出たときにも赤間さんの相談に応じた、日本共産党塩釜市議団の小野絹子団長も参加。「震災被害で大変な中で船の新建造の第1号が出たというのはとてもうれしいことです。この第1号が復興への励みになります。これからも再建のために応援していきます」と祝福しました。 (下渕雅史)
■関連キーワード