2011年8月13日(土)「しんぶん赤旗」
豊かな大地・海返せ
福島の農林漁民 決起
早期賠償 国と東電に迫る
原発放射能汚染に経済的にも精神的にも大打撃をうけている福島県内の農林漁業者の思いを東京の消費者に共有してもらい、国や東京電力に賠償を迫ろうという総決起大会が12日、日比谷野外音楽堂で開かれました。JAグループ福島、福島県森林組合連合会、福島県漁業協同組合連合会の3者の主催。猛暑のなか農家や漁民ら3000人が大型バスを連ねて上京しました。
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決起大会の演壇には、「東電と国は全ての損害を速やかに賠償せよ」「東電と国は福島県の豊かな大地と海を返せ」などのスローガンとともに、「全国の皆さん、多くの支援ありがとう」の言葉も掲げられました。
庄條徳一JA福島五連会長は主催者あいさつをし、「原発事故は収束のめどさえ立たず、農畜産物の放射能汚染が深刻になり、失望と怒りは頂点に達している」と発言。「生産者も消費者も被害者です。生産者が廃業の危機においやられ、加害者の東電は謝罪もない。理不尽で、もうがまんも限界だ。強く抗議する」と報告すると、会場から「そうだ」の声が響きました。
各団体が決意表明しました。参加者は大会後、「緑豊かな本当の福島を返せ」「返せ我らの命の海を」などと書かれたむしろ旗や大漁旗を掲げて銀座をパレード。東電本社前では立ち止まって、「福島県民を故郷に返せ」などとこぶしを突き上げました。
「メチャクチャにされた酪農 元に戻せ」とのプラカードをもって歩いていた小野町の酪農家(60)は、牧草が放射能汚染の危険があるので輸入に頼り、エサ代だけで月30万円にもなるといいます。デモや集会参加は初めての人ばかり。「おれたちのあすの命がかかっているから、やんなきゃ。国はいいかげん、なんとかしてほしい」
いわき漁協の婦人部は、子どもたちの描いたかわいい魚の絵と「いわきの豊かな海を」と書いた紙を網にくくり付けて行進しました。そのひとりの女性(43)は、「原発事故のとばっちりで一度も漁に出られない。もう原発はいりません。被害をうけるだけ。なんの恩恵もありません」と話します。
主催者団体の代表は集会後、東電社長と菅首相に対し、早期の賠償などを求める要請をおこないました。