2011年8月16日(火)「しんぶん赤旗」
“稲わら汚染・賠償は「火事場泥棒」”
電力会社など発行の雑誌
東電免責の記事
東京電力など電力9社と電源開発が発足させた「公益産業研究調査会」(略称「公研」)発行の月刊誌『公研』8月号に、東電福島原発事故によるセシウム汚染の稲わらで飼育した肉牛の出荷停止について、賠償を東電に負わせるのは「火事場泥棒」と論じる記事が掲載されていることがわかりました。
問題の記事は巻末の「事務局日誌」。「天日に晒(さら)された稲わらへの放射性物質の影響などは、当然注意していてしかるべき」で、汚染は「その注意の徹底を行政が怠っていたために起きた」と主張。「電力(東電)にその賠償の責を負わすとは責任逃れもほどがある。大衆の怒りに便乗して、何でも彼(か)んでも責任を押しつけてくるとは、火事場泥棒のそしりを免れない」と断じています。
原発事故の賠償責任を国に全面転嫁して東電の責任を棚上げにし、東電が被害者であるかのようにすり替える最悪の免罪論です。
同調査会には、発足時の電力9社などのほか、原発関連メーカーやゼネコンなど計300社近い企業が加盟。同誌を通じて「原発利益共同体」に属する企業の主張を代弁してきました。東電の荒木浩元会長が同調査会の会長を務めていました(現在は空席)。