2011年8月20日(土)「しんぶん赤旗」

福島原発事故による放射能汚染からの食品の安全確保と農業生産を守ることを求める緊急申し入れ

日本共産党国会議員団


 日本共産党国会議員団が19日、鹿野道彦農水相に行った「福島原発事故による放射能汚染からの食品の安全確保と農業生産を守ることを求める緊急申し入れ」は次の通りです。


 日本共産党は、8月11日に「福島原発事故による放射能汚染から、子どもと国民の健康を守る対策」を発表した。

 本申し入れは、そのうえで、食品の安全を確保することと農業生産を守るための具体策について必要な措置を求めるものである。

 セシウム汚染稲わら問題では、安全安心の循環型農業、地産地消など「これまでの生産者の努力が否定され、毎日のエサ代だけが膨らむ」と悲鳴があがっている。

 政府は、生産者の損失補填(ほてん)、営農継続へ万全の体制をとるとともに、消費者の不安が払拭(ふっしょく)されるよう、検査体制等を国の責任で整えるべきである。そのための費用は、国が東電に求償すべきである。

 食品の安全の確保を万全なものにすることは、日本の農産物流通を安定的にするとともに、日本農業の発展にも寄与するものであり、ひいては、食料自給率の低下を防ぐ役割を果たすといえる。それだけに、第3次補正予算、2012年度予算の大きな柱に据えるべきものである。ついては、以下申し入れる。

一、食肉について

 (1)牛肉消費の安定化に不可欠として生産者は、牛の全頭検査を求めている。セシウム汚染稲わらを給与された牛が存在する県の全頭検査にとどまらず、検査を求めている都道府県の全頭検査を認めること。出荷先の都道府県での検査が行えるよう国が調整を行うこと。そのために必要な検査費用については、国が負担すること。

 (2)経営不安に陥っている肉用牛肥育農家への支援対策では、飼料代の支援や堆肥管理への支援などを行い、経営面の不安を払拭させること。子牛、廃用牛についても支援を行うとともに、肉用牛肥育農家支援金(1頭5万円)については、返還を求めないこと。

 (3)セシウム汚染稲わらを給与され食肉処理された牛の内臓肉は、全く回収処分がされていない。食品として流通しないように回収に全力を挙げること。また、再びこのような事態にならないように、牛の内臓肉のトレーサビリティーの導入を早急に進めること。

 (4)汚染された稲わら、堆肥、糞(ふん)尿の処理方法を早急に示すとともに、処分費用は国が負担すること。

二、米について

 (1)米の放射性物質調査は一圃場(ほじょう)ごとに行うこと。米の予備調査及び本調査の結果については、すべて公表すること。

 (2)暫定規制値を超えて市町村単位で出荷停止になった場合は、出荷停止対象の米を国が買い上げること。

 (3)検査費用については、県知事が指定したものも含め、国が負担すること。

三、検査体制について

 食品の安全確保のためには、検査体制の確立が不可欠である。そのための放射能検査機器の確保は、緊急課題である。政府として、検査機器の緊急輸入を行うとともに、民間や研究機関の放射能検査機器の借り上げなど当面の検査需要に応じる体制を確立すること。また、放射能汚染が長期に続くことが不可避であるだけに、抜本的な検査体制の整備を進めること。

 セシウム汚染牛肉が学校給食の食材として混入する事態が起きたが、二度とあってはならない。学校給食の食材については、徹底的な放射能検査を行い、安全な食材を提供する体制を確立すること。国としてそれを可能にする支援をすること。

四、飼料、堆肥・肥料管理対策、循環型農業支援について

 徹底的な飼料管理、堆肥管理、肥料管理を行い、放射性セシウムが食品中に入り込まないための対策を強化すること。堆肥を利用したイチゴ栽培、環境保全米など循環型農業ができなくなっている。これらを含め、全体として支援を行うこと。

五、

 東京電力による賠償実施までの農家経営維持のため、自治体が独自に行っている「つなぎ資金」融資等の支援について、発災時にさかのぼり国がその費用を負担すること。





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