2011年9月3日(土)「しんぶん赤旗」
いすゞ裁判
雇い止め後V字回復
「非正規切り」必要性問う
いすゞ自動車を「非正規切り」されたJMIU(全日本金属情報機器労働組合)組合員12人が同社に正社員化などを求めた訴訟の証人尋問が1日、東京地裁でありました。会社側は証言で、組合員を雇い止めした2009年4月を底に、業績がV字回復したことを認めました。
同社は08年末に約1400人の期間・派遣社員を全員、中途解雇。違法解雇だとして撤回を求めた原告らのたたかいが広がり、いったん撤回しましたが、原告も翌年4月までに雇い止めされました。
この雇い止めが、経営上どうしても必要だったかどうか。
会社側証人の渡邉正夫・総務人事部長は、09年4月の業績回復を見通していた時期について、「わからない」とのべ、明確に答えませんでした。組合員を雇い止めせず、継続雇用した場合の経営見通しについても、わからないと逃げました。
また、同社が製造ラインの正社員約2500人を希望退職させて請負に入れ替えた02年から派遣に切り替えた05年までの請負について、神奈川労働局が偽装請負と派遣の期間制限違反で是正指導していたことが、会社側提出の文書で判明しました。渡邉氏は「法違反の認識はなかった」などと弁解しました。
期間社員の雇用契約を上限2年11カ月として運用している問題について、組合側弁護士は「その目的は解雇権濫用(らんよう)法理の類推適用を免れるためか」と尋問。渡邉氏は「そういう意味あいも含んでいる」と認めました。
組合側証人でJMIU中央本部の三木陵一書記長は、組合員を雇い止めした09年4月以降の業績見通しが示されなかったなど、同社の不誠実な団体交渉の実態を証言。「雇い止めに反対し、雇用を守る先頭に立つ組合を職場から放逐する攻撃だ」と指摘しました。