2011年9月7日(水)「しんぶん赤旗」
安心がん治療めざす
薬害イレッサ控訴審始まる
東京高裁
肺がん治療薬の抗がん剤「イレッサ」を投与されて致死的な副作用、間質性肺炎を発病して死亡した患者の遺族らが輸入販売元のアストラゼネカ社(ア社、大阪市)と国を訴えた薬害イレッサ東日本訴訟の控訴審第1回口頭弁論が6日、東京高裁(園尾隆司裁判長)でありました。
原告側は、当時の医療機関向け添付文書の記述が不十分だったとして国とア社の賠償責任を認めた一審判決について、「極めて高い意義がある」と評価しました。一方で、文書改訂以降に服用を始めた患者1人について請求を棄却した判断の見直しを求めました。
次女三津子さんを間質性肺炎で失った原告の近澤昭雄さんが、意見陳述。イレッサ承認後、わずか2年半で557人もの人が間質性肺炎で死亡したことにふれ、「(がん治療に)有効だという情報ばかりが氾濫し、危険性に関する情報は何も明らかにされないまま薬の使用が開始されるのであれば、臨床試験ではない、人体実験だ」と訴えました。
控訴審後の報告集会で、弁護団事務局長の阿部哲二弁護士は、平岡秀夫法相が2008年通常国会予算委員会の質問で薬害イレッサ問題に関する国の責任を迫ったことに触れ、「早期に全面解決を目指したい」と強調しました。近澤さんは「抗がん剤の向上、がん患者が安心して受けられるがん治療を目指したい」と述べました。