2011年9月10日(土)「しんぶん赤旗」
生活保護廃止やめよ
一時金収入認定 水俣病被害者ら提訴
鹿児島地裁
水俣病特別措置法に基づく救済の一時金支給を受けたことで、受給していた生活保護を打ち切られた水俣病被害者らが9日、鹿児島県出水(いずみ)市を相手取り、生活保護廃止処分の取り消しを求めて鹿児島地裁に提訴しました。
提訴したのは、いずれも出水市在住の田上和義さん(53)、竹添榮さん(74)、宮田達也さん(73)、江口豊さん(61)の4人。田上さんと江口さんは、ノーモアミナマタ国賠訴訟をたたかい、同特措法をベースにした裁判上の和解金を勝ち取った元原告です。
訴えによると、水俣病特措法は被害補償として一時金210万円などを支給するもので「一時金は被害者への慰謝料・救済金だ」と主張。生活保護廃止は特措法の解釈・適用を誤っているとして、取り消しを求めています。
4人は一時金支給を受けた直後、全額を出水市福祉事務所に収入と認定され、生活保護を廃止されました。処分に異議を申し立て審査請求しましたが全て棄却されました。
田上さんは「何のためにたたかってきたのか、何で生活保護を受けて差別されるのか無念だったが、裁判でこの思いをぶつけたい」と怒りをあらわにしました。
竹添さんは、生活保護で免除されていた妻の高額な医療費が、一時金支給によって取り消されて重い負担増となり、生活が苦しくなった理不尽な体験を語りました。
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