2011年9月15日(木)「しんぶん赤旗」
泡瀬干潟埋め立て中止して
藻場激減・砂州の形変化
日本自然保護協会 調査もとに求める
日本自然保護協会は14日、都内で記者会見し、沖縄県沖縄市沿岸で埋め立てが計画されている泡瀬干潟の生物や環境についての調査結果をもとに、計画の中止を求めました。
沖縄
泡瀬干潟は、新種の海草や貝が見つかるなど貴重な生物の生息地です。国、沖縄県は、ここにリゾートホテルなどを造るとして、埋め立てを計画。2000年の環境アセスメントでは、埋め立てによる干潟の生物などへの影響は十分小さいとして、埋め立てに先立って2006年から護岸工事を開始しました。
ところが、同協会が2003年から継続している調査で、工事開始後、埋め立て予定地やその周辺にあたる海域で、海草藻場が激減し、砂州の形が変わる、サンゴの死滅などの変化が明らかになりました。
沖縄県の住民は埋め立てへの公金支出差し止めを求める訴訟を起こし、09年には福岡高裁那覇支部が「経済的な合理性がない」と、訴えを認めたため、工事は中断。しかし、国と県は今年、埋め立て面積を185ヘクタールから95ヘクタールに縮小し、スポーツ施設などを造るとして、埋め立て計画の変更許可を県に申請し、7月に認められました。
同協会による今年7月、8月の調査では、海草のいっそうの減少、砂州の地形変化がわかりました。
新計画に反対する住民ら276人が県と市の公金支出差し止めを求める新たな訴訟を7月22日に起こしました。
開発法子・同協会事務局長は、「泡瀬干潟の実態は、環境アセスメントの予測とは違っている。環境面でも、裁判で指摘された経済面でも、国や県は計画の再検討をしたとはいえない。埋め立ては中止し、環境の保全を図ってほしい」と話しています。
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