2011年9月19日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

笠井政策委員長代理の発言


 日本共産党の笠井亮政策委員長代理・衆院議員が18日のNHK番組「日曜討論」で行った発言を紹介します。


復興財源――負担を分かち合うというなら、大企業・大資産家にこそ

 番組ではまず、政府の税制調査会が16日に示した東日本大震災の復興財源をまかなう臨時増税案が議論になりました。司会から政府案について問われた笠井氏は、次のように述べました。

 笠井 大震災から半年ということで、なにより急がれているのは、被災者の住環境、仕事と収入の確保です。これらが一向に進まず、政治は何をやっているのかというところに、復興増税といいますが、法人税は結局、(予定されていた)5%減税はそのままおこない、その一部を3年間一時的に増税するという中身で、実質は2%減税です。3年したら5%減税になる。

 所得税は臨時といいながら、10年間増税です。大企業は1円の負担増もなく、サラリーマンや自営業者に増税を求めるのはおかしい。やはり負担を分かち合うというならば、大企業・大資産家の減税にこそ、しっかりと手をつけるべきです。

 公明党の斉藤鉄夫・党税制調査会長は「足りないところは、国民にお願いせざるを得ない」、社民党の阿部知子・党政審会長も「財源を吟味して、最後に足らざるは国民にお願いする」と述べ、各党、庶民増税容認で、ほぼ足並みをそろえました。たちあがれ日本の片山虎之助幹事長は、野田佳彦首相が消費税増税を復興財源からはずすよう指示したことについて「よくない。(財源の)選択の幅がほとんどない」と批判しました。

復興財源をいうなら、歳出・歳入を見直すことはたくさんある

 増税以外の財源確保策について議論が移り、各党が政府保有の株式売却や議員定数削減、公務員給与2割カットなどを主張するなか、笠井氏は次のように語りました。

 笠井 復興財源をいうなら、手をつけていないものがいっぱいあります。政党助成金320億円、これはやめるべきです。法人税減税や証券優遇税制の延長も中止する。不要不急の公共事業も見直し、いらないものは中止する。原発建設・推進のための予算が4000億円もあり、これも中止します。米軍への「思いやり予算」や、グアムに米軍基地をつくるための予算も中止。(財源は)いっぱいあります。国家的事業である復興をやるならば、歳出・歳入を見直し、やめることはたくさんあります。そこに手をつけるべきです。

 復興財源をめぐって民主党の藤井裕久・党税制調査会長は「臨時的なものは臨時的に解決しないといけない」、自民党の野田毅・党税制調査会長は「最後はある程度の税負担を避けられない。臨時的、一時的であれば、付加税のようなものがよい」と議論を交わしたのに対し、笠井氏はこう指摘しました。

 笠井 復興増税が臨時的という話があったが、所得税でいえば10年間が臨時的かという問題がでてくる。日本で財源といえば庶民に増税ということばかりでてきますが、欧米と比べてずいぶん違うと思います。世界最大の投資持ち株会社のトップとか、ドイツやフランスの大企業のトップ、資産家が、「われわれに課税せよ」「繁栄わかちあおうじゃないか」といっています。日本では、経団連が「われわれに減税せよ」という立場です。結局、野田首相も庶民に対する増税となる。あまりに違います。まして大震災のあった日本で、こういうあり方でいいのかが問われないといけません。

税・社会保障「一体改革」は切り捨てのオンパレード、正体は「一体改悪」       

 テーマは、2010年代半ばまでに消費税率を10%まで引き上げる「税と社会保障の一体改革」に移りました。たちあがれ日本の片山氏は「広く薄くみんなで負担してもらうのはやむをえない」と強硬に主張。自民党の野田氏も「昨年の参院選で当面10(%)と打ち出した」と述べました。

 笠井氏は次のように述べました。

 笠井 「一体改革」というが、じゃあ社会保障をよくするかというと、前提自体がそうなっていない問題がある。政府が6月に決めた方針をみると、医療でいえば、医療費は窓口負担の3割からさらに上乗せをする負担をかけ、年金でいえば、支給開始年齢を68歳ないし、70歳に引き上げると。基礎年金についても500円から600円減額を検討する。社会保障については切り捨てのオンパレードになっています。

 他方で、民主党が国民に約束した後期高齢者医療制度の廃止については、どこへいったのか、まったく影も形もありません。「一体改革」の正体を見れば、社会保障は改悪する、そして消費税は10%にする「一体改悪」になっている。これは論外で、消費税にはきっぱり反対です。社会保障のためにふさわしくないのが消費税ですから、能力に応じて負担するという、そういうやり方で税と社会保障のあり方を抜本的に検討することが必要だと思います。

 この指摘に対し民主党の藤井氏は「笠井さんの言われた立場はわかります」とした上で、社会保障の「重点化」を持ち出し、「いいところもある」と政府案を合理化。笠井氏はすかさず「全体としては(改悪の)オンパレード」だと厳しく批判しました。

 最後に、財政再建をどう進めるかに議論が及びました。民主党の藤井氏が「政治家の削減」、公明党の斉藤氏が自公時代の経済財政諮問会議のようなもので「経済財政運営に対するビジョンを明確にする」ことを挙げるなか、笠井氏は次のように指摘しました。

 笠井 「社会保障の重点化」で改悪メニューがどんどん出ている。やはり、所得の少ない方、弱者や被災者に重い負担をかけるのが消費税ですから、国民の暮らしを壊したり、あるいは景気を悪化させたら、それこそ財政再建もなりたたないという立場をはっきりさせるべきです。





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