2011年9月20日(火)「しんぶん赤旗」
介護労働者の「4万円賃上げ」
民主党の公約どこへ
2年前、「国民の生活が第一」と連呼して政権に就いた民主党。変節に変節を重ねてさすがに使いづらくなったかと思いきや、先般の首相交代劇でもこの言葉が飛び交いました。「『国民の生活が第一』の原点に立ち返る」(13日、野田佳彦首相の所信表明演説)
小宮山洋子厚労相も就任後の記者会見(5日)で意気込みました。「国民の生活が第一」の立場で「政策を進めるということが今回の内閣の使命」。
記者に問われ
民主党政権の2年間を経験した国民としては、こうしたスローガンを額面通り受け取る気分ではないでしょう。厚労相もその場で記者から問われました。政権公約だった「介護労働者の賃金4万円引き上げ」に「どのように取り組んでいくお考えか」。
思い起こせば2009年、民主党は国の予算の「全面組み替え」で財源をつくり、介護事業者への報酬を加算して介護労働者の賃金をアップすると公約しました。12年度にこの公約を完全実施するとの「工程表」も示しました。約束を果たすなら、来年4月には賃金4万円アップに相当する額、事業者への報酬を引き上げなければなりません。
約束破り宣言
ところが、厚労相の答えはこうでした。「社会保障と税の一体改革の中で財源を確保しないと…なかなかできません」
政府が「一体改革」であてにする社会保障の財源とは、消費税のことです。消費税を10%に増税する時期は10年代の半ばとされています。
つまり厚労相の返答は、賃金アップの約束を12年度に果たす気はないと宣言したに等しい言葉です。そのうえ介護労働者のためだと国民を脅して、低所得者に重くのしかかる消費税の大増税を受け入れろと迫っているのです。
こんな政策メニューを並べておきながら「生活が第一」の看板を掲げ続けることが、「正心誠意」(野田首相)の政治の姿なのでしょうか。(恒)