2011年9月22日(木)「しんぶん赤旗」
つくる会系歴史教科書は不適切
文科相に要望書
元駐ネパール大使、横浜の有識者ら
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横浜市内在住・在勤の大学教授など6人の有識者は21日、文部科学省を訪ね、同市教育委員会が採択した「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社の歴史教科書について、事実誤認、不適切な表現などが多いことを指摘し対応を求める要望書を、中川正春大臣宛てに提出しました。
横浜市教育委員会は8月の教科書採択で、中学校の歴史と公民で育鵬社を選びました。同教科書は2012年度から4年間、市立中学149校で使用されます。
要望では、同歴史教科書に「少なくとも18カ所もの誤記、事実誤認、不適当な表現などがある」と指摘。元ネパール大使の吉田重信氏は、アジア太平洋戦争を「自存自衛のため」と記述していることを「いちじるしい偏向だ」と述べ、「(日本は)何も悪くないと言っており、無責任・無反省だ」と強調。沖縄戦の記述については、日本軍の関与が一つの要因である事実を故意に見逃しているとして、「沖縄の人への配慮を欠く、重大な問題だ」と厳しく批判しました。
藤岡貞彦氏(一橋大学名誉教授)は、市教委が09年に採択した「つくる会」系の自由社の歴史教科書で年表盗作などが判明したにもかかわらず、18行政区中8区で10年度入学の中学生までが使用している問題を指摘。市教委に対応を指導すべきだと主張しました。
応対した同省担当者は指摘について検討すると答えました。