2011年10月7日(金)「しんぶん赤旗」
主張
小沢氏初公判
市民が起訴した重さに応えよ
自らの資金管理団体「陸山会」の巨額の土地購入に絡んで虚偽の政治資金収支報告書を提出した罪に問われた小沢一郎民主党元代表の裁判が始まりました。すでに3人の元秘書には政治資金規正法違反の罪で有罪判決が出されており、裁判は小沢氏の「共謀」を認めるかどうかが焦点です。
重大なのは小沢氏に対する裁判が、検察が起訴を見送ったのに国民が参加する検察審査会が2度にわたって議決し強制起訴されて始まったことです。市民参加で起訴された事実は重要です。小沢氏はこの事実を踏まえ裁判だけでなく国会でも誠実に応えるべきです。
裁判と国会は“車の両輪”
初公判で小沢氏は全面的に起訴事実を否定し、裁判そのものの中止まで求めました。市民による起訴の重みを受け止める姿勢はまったくありません。
小沢氏は、「陸山会」の政治資金規正法違反事件が明らかになって以来1回も国会で説明していません。記者会見など自らに都合のよい場での説明も、小沢氏が貸し付けたといわれる土地購入資金の出所について、説明を二転三転させています。
小沢氏は国会の「政治倫理綱領」で求められる政治倫理審査会での自発的な説明も拒否し、日本共産党など野党が要求した証人としての喚問も民主党などの反対で実現していません。元秘書3人の有罪判決のあと野党側が求めた証人喚問に対しても、民主党は、「司法への影響も踏まえると妥当か」(野田佳彦首相)と拒否しています。
裁判での司法による追及と国会での疑惑と政治的道義的責任の解明は“車の両輪”です。裁判を理由に、国会議員として当然求められる国民への説明責任を果たそうとしない態度は、言語道断です。
元秘書3人が政治資金収支報告書の虚偽の届け出で有罪となって、監督責任のある小沢氏が「知らなかった」では通用しません。小沢氏の裁判で検察官役を務めた指定弁護士も、「共謀」を明確に断じています。小沢氏は自らの関与を認め、裁判だけでなく国会の場でも責任を明確にすべきです。
小沢氏に関わる疑惑の核心は、いったい小沢氏が土地購入などにあてた巨額の資金をどのようにして手にしたのかです。元秘書の裁判では、小沢氏の事務所が公共事業の発注に大きな影響力を行使し、ゼネコンからの巨額の献金で政治活動などを賄っていた構図を浮き彫りにしました。本来、贈収賄罪にも問われる問題です。司法が贈収賄で摘発していなくても、文字通り「税金の還流」として、政治的道義的責任が厳しく問われます。国会での真相の解明と、責任の追及がとりわけ重要です。
責任求める圧倒的な世論
3人の元秘書に有罪判決が出された後、新聞やテレビなど、どのマスメディアの世論調査でも、小沢氏自身に責任を明確にするよう求める声が圧倒的です。「小沢氏は政治的に責任を取るべきか」思う82%、思わない14%(「毎日」)、「小沢氏はどう対処すればいいと思うか」離党すべき17・5%、議員辞職すべき66・5%(「共同」)等々。
小沢氏が国民に選挙で選ばれた国会議員である以上、こうした圧倒的な国民の声を無視することは許されません。裁判での司法の裁きと同時に、国会でも証人喚問に応え、責任を明確にすべきです。
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