2011年10月9日(日)「しんぶん赤旗」
議員パーティー券
“自粛”の陰で電力会社が大口購入
規正法の“死角”を使い献金
本紙の取材で明らかになった電力会社による国会議員のパーティー券購入の一端。見えてきたのは、他の業界よりもけた違いに多い“電力マネー”の力でした。 (「政治とカネ」取材班)
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電力会社による政治献金は「公益企業にそぐわない」として1974年から表向きは“自粛”という形をとり、企業としては行っていません。そのかわりとなる電力各社役員による“個人献金”の体裁をとった組織的献金が、本紙報道で判明しました。
今回、明らかになった自民党の竹本直一衆院議員からのパーティー券購入実績。竹本議員は、国土交通省の官僚出身で、いわゆる“建設族”議員。衆院の財務金融委員会が長く、“金融族”でもあります。
原発や電力業界との接点については、経済産業政務官を一度つとめていますが、関係が深いとはいわれていません。
“氷山の一角”
しかし、“畑違い”のはずの電力業界各社から、2年間で400万円のパーティー券購入を受けていました。これは、竹本議員と関係が深いと思われる建設業界の大手ゼネコンを上回る購入額。同議員への献金は“氷山の一角”とみられ、電力業界の政界にたいする資金力は、はかりしれません。
こうした多額の“献金”が、これまで隠れていたのは、政治資金規正法の“死角”によるもの。
政治資金規正法では、通常の個人や企業の献金の場合、年間5万円を超えると、献金者の名前を政治資金収支報告書に記載しなければなりません。
20万円以内に
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しかし、パーティー券購入の場合は、1回のパーティーで20万円分を超えないと記載義務はありません。
電力会社は1回のパーティー券の購入額を20万円以内におさえることで、企業献金の“自粛”を装い続けていたのです。
電力会社が購入した竹本議員のパーティー券は、実際には企業献金といえます。
本紙が入手した資料によると、電力会社側は1枚2万円のパーティー券を3枚以上買いながら、実際に参加するのはせいぜい1人。16万円分も買いながら、誰も参加しなかった東京電力のようなケースも目立ちます。
本紙の取材に「パーティー券購入は社会通念上、妥当な範囲で購入することはあるが、個別についてはお答えできない」(北海道電力)などと、いずれも明確な回答を避けています。電力マネーのさらなる解明が求められます。
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