2011年10月15日(土)「しんぶん赤旗」
米韓FTAを批判
韓国農民 “農・漁業の根幹崩壊”
米議会が韓国との自由貿易協定(FTA)の批准案を承認したことを受け、韓国では、米韓FTAの国会承認に向けた動きが強まっています。与党ハンナラ党の黄祐呂(ファン・ウヨ)院内代表は14日、最大野党・民主党の金振杓(キム・ジンピョ)院内代表と会談。今月28日の本会議で批准案を採決する意向を伝えました。
米韓FTAについて、全国経済人連合会など経済界は、輸出が中心になっている韓国経済がさらに発展するためには不可欠という立場。今後10年で35万人の雇用が創出され、実質国内総生産(GDP)も5・6%増えると主張しています。
一方、農民団体36団体で構成する「米韓FTA阻止農水畜産非常対策委員会」は、米韓FTAの発効により農業分野では、2兆2000億〜8兆8000億ウォン(100ウォン=6・6円)の被害が発生すると指摘します。また、野党・民主労働党によると、協定には、▽自由化逆戻り阻止条項▽金融資本市場の完全開放▽サービス市場の原則自由化など、「12の毒素条項」が含まれています。
政府・与党側が、月内批准、年内発効を目指すのに対し、農民団体は「米韓FTAで関税措置がなくなれば、農・漁業の根幹が崩壊する」として、批准阻止運動を強力に展開する構え。市民団体や労働組合も参加する「米韓FTA反対汎国民運動本部」は12日、ソウル市内で批准阻止を掲げた集会を開催。政府・与党がFTA批准案を強行採決しようとしていると、厳しく批判しました。
米韓FTA問題は、10月26日投票で実施されるソウル市長選にも影響を与えるとみられ、政府・与党が選挙前に批准手続きを強硬に進めるのは困難だとの見方もあります。(中村圭吾)