2011年10月19日(水)「しんぶん赤旗」

TPP 政府が想定問答集

食品の規制緩和 「排除されない」


 政府は、環太平洋連携協定(TPP)加盟交渉への参加に向けて、「よくある質問」と題する想定問答集をつくり、与党議員などに配っています。


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(写真)TPP交渉参加についての政府の想定問答集

 想定問答集は、TPP問題を農業問題にわい小化するため、「食品安全」「医療・保険」「外国人専門家(医師・弁護士等)」「労働市場」に限って釈明したもの。「我が国がTPP交渉参加国との協議を通じて、これまでに収集した現時点の情報をもとにしたもの」としていますが、かえってTPPが暮らしと経済のあらゆる分野を交渉対象とし、アメリカ型「規制緩和」を押し付ける危険を浮き彫りにしています。

 たとえば、「輸入食品の安全性や食品の安全基準はどうなる」との問いについてはどうか。牛肉の輸入規制、食品添加物や残留農薬の基準、遺伝子組み換え食品の表示ルールなど、米国が日本に求めてきた規制緩和を列挙。「今後、提起される可能性も排除されません」と認めています。

無責任な説明

 医療・保険では、混合診療の解禁や営利企業の医療参入、公的医療保険制度については、「議論の対象となっていません」としています。しかし、米国は小泉政権当時の2001年の「年次改革要望書」で医療への市場原理導入を日本に要求。その後も民間医療保険や医薬品の市場開放を繰り返し求め、公的医療保険制度まで「障壁」として繰り返し攻撃してきました。議論になっていないのは、日本がまだ交渉に参加していないからです。

 民主党の経済連携プロジェクトチームの総会(17日)では、「議論の対象とならないなどと断言できないはずだ」との異論が出ましたが、政府は何ら反論できませんでした。

 医師や弁護士など外国人「専門家」の受け入れについては「議論されていない模様」だという無責任な説明に終始。きっぱり否定することができません。

情報開示せず

 実際に米国は、日本に規制緩和を求める「日米経済調和対話」で、「外国法事務弁護士」による「専門職法人」の設立を認めるよう要求しています。

 政府は、TPP交渉が非公開であるのをいいことに、国民的議論に必要な情報を開示していません。一方で、自分に都合のいい情報だけを示した想定問答集は、政府が国民の批判を恐れていることを証明するものです。





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