2011年10月24日(月)「しんぶん赤旗」
復興基盤奪うTPP
笠井氏が批判
NHK「日曜討論」
23日のNHK番組「日曜討論」で、野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加する姿勢を示していることが議論になり、日本共産党の笠井亮政策委員長代理は「きっぱり反対する」と語りました。
民主党の前原誠司政調会長は「相手の国の市場へのアクセスが容易になる」と交渉参加の意向を表明。「党内でしっかり議論し、結論を得る」と強調しました。みんなの党の浅尾慶一郎政調会長も「参加すべきだ」と主張しました。
一方、「(首相は)若干前のめり」(自民党の茂木敏充政調会長)、「自由貿易は重要だが、手法はTPPだけなのか疑問」(公明党の石井啓一政調会長)など「慎重」を求める意見が相次ぎました。与党の国民新党の下地幹郎幹事長は「反対」と表明しました。
笠井氏は“とりあえず交渉参加を”という議論に対し、「TPPはすでにある4カ国の協定に参加する交渉だから、前提条件がある」と指摘。(1)すべての関税をゼロにする(2)関税以外の制限(非関税障壁)も原則撤廃する―が前提条件で、カナダもチーズやアヒルなどの関税撤廃を表明しなかっただけで交渉参加を拒否されたという経過を紹介しました。
その上で「いったんテーブルにつけば米の関税はゼロ、食料自給率は13%に落ち、国民生活のあらゆる分野で国の形を変えてしまう。被災地の基幹産業である農林水産業に壊滅的打撃となる。復興の基盤を奪い取る道を絶対にとるべきではない」と力説しました。
続いてTPPと農業振興の両立が議論になり、前原氏は戸別所得補償の役割を強調。浅尾氏は「(農地を)集約できれば競争できる」と主張しました。
笠井氏は価格保障と所得補償で農業を支えて自給率を上げていくことが大事だと述べ、「TPPは逆に自給率を下げる」と批判しました。「1戸当たり耕作面積で日本の100倍のアメリカ、1500倍のオーストラリアと競争して勝てるという話は、幻想で暴論だ」と述べました。
さらに、「TPPは農業だけでなく、食の安全、医療、労働など、あらゆる分野でルールを壊す。43道県から反対・慎重の意見書が上がっている。民主党も割れ、各党も態度が決まらない。こういう状況でなぜ急ぐのか」と語りました。