2011年10月26日(水)「しんぶん赤旗」
宮城 仮設住宅2万2000戸
防寒 ようやく着工
被災者「冬に間に合わない」
宮城県内で仮設住宅約2万2千戸の寒さ対策工事が始まりました。岩手県に比べて2カ月以上の遅れで、工事が終わるのは12月中旬以降になる見通し。被災者からは「冬に間に合わない」と怒りの声があがっています。
|
工事が始まったのは、外壁への断熱材の追加、玄関に雨や風が入るのを防ぐ風除室の設置、窓ガラスの二重化などです。
仙台市太白区あすと長町の仮設住宅では24日から、壁を断熱材で囲む工事をしています。厚さ5センチだった断熱材が、工事後は10センチになります。
大手丸投げ
宮城県では、県が仮設住宅の98%を大手メーカーでつくるプレハブ建築協会に丸投げしたため、内装ボードが張られず鉄柱がむき出しの仮設住宅など劣悪な住環境が問題になっていました。
県は当初、寒さ対策の追加工事は「必要ない」(9月3日、本紙の取材に対する回答)という立場でした。被災者らの批判を受けて10月3日に「県が一括発注する」と方針転換を発表するまで、寒さ対策を講じずに放置しました。
厚生労働省は6月に追加工事を国費負担の対象にすると被災県に周知しており、8月下旬から工事を始めた岩手県はすでに断熱材の追加を終えています。
宮城県は工事終了の目標を12月20日としていますが、「ずれこむ可能性もある」(担当者)と説明。追加工事もプレハブ建築協会に丸投げするため、建設時と同じように地元業者が活用されずに工期が長くなる恐れがあるからです。
被災者負担
震災半年の時点で本紙が岩手、宮城、福島の3県で実施した被災者300人アンケートには、「約3万円かけて玄関に風除室をつけた」(宮城県岩沼市の50歳女性)など、対策の遅れで被災者が自己負担を迫られている実態が寄せられました。
石巻市のトゥモロービジネスタウン仮設住宅で暮らす男性(76)は、「朝晩の冷え込みがつらくなってきたのに、まだ工事が始まらない。冬が来る前に急いでほしい」と話しています。 (本田祐典)
|
欠陥放置 県の責任
日本共産党の横田有史県議団長の話 村井県政が被災地の住宅事情に詳しい地元業者を活用せず、大手メーカーでつくるプレハブ建築協会に丸投げしたことが、寒さ対策の遅れの根本的な原因だ。中越地震や岩手・宮城内陸地震で指摘された欠陥を改善せずに仮設住宅を提供し、被災者の実情をかえりみずに放置した。この問題は繰り返し県議会で追及してきた。今後も被災者の生活改善に努めたい。