2011年10月28日(金)「しんぶん赤旗」
国交天下り 深まる疑惑
全部で7ルート 事務次官の関与
塩川氏が新証拠
国土交通省の最高幹部による天下りあっせん疑惑で新たな証拠が浮上しました。日本共産党の塩川鉄也議員が26日の衆院内閣委員会で明らかにしたもの。
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三つの特徴
塩川氏が告発したのは、国交省の官僚OBが所管法人を渡り歩き、高額の報酬や退職金を受け取る“わたり”の実態です。
内部告発をもとに小型船舶検査機構を皮切りにした二つの天下りルートを7月に告発していますが、新たに5ルートを提示。三つの特徴をあげました。(図)
第一は民主党政権が解禁した官僚の現役出向を利用して公益法人に押し込む“現役出向型”。第二は天下りできず民間会社顧問などをしているOBを送り込む“顧問就職型”。第三は法人の都合でポストがなくなり、あぶれたOBを押し込む“ポスト消滅型”です。
軽自動車検査協会への現役出向を皮切りにした天下りでは、OB6人が数珠つなぎに交代する“玉突き”人事になっています。
塩川氏は「これだけ法則的な“わたり”人事は誰かがシナリオを書かないとできない」と役所ぐるみの天下りを指摘しました。
同省の調査委員会は8月に“あっせんはない”との調査結果を発表していますが、藤村修官房長官は「調べてみなければいけない。おかしいなと思えるところは排除していきたい」と答えました。
審議官時代
さらに問題なのは、天下りを主導したとされる現役官僚が、今年9月に官僚組織トップの事務次官に就任したことです。それは宿利正史・国交省事務次官。前述の天下り人事はすべて、同氏が審議官時代に行われていました。塩川氏は同氏の主導を示す新たな証拠を示しました。
一つは日本民営鉄道協会の役員人事。同協会の前理事長が「(宿利審議官から)後進に道を譲ってほしいといわれた」と証言しているものです。もう一つは、6月に天下り先を辞めた内部告発者の後任人事。天下り先の副会長が「会長が(国交省の)担当課長にかねてから交代要員を打診してあった」などと、同省のあっせんを認める証言をしています。
塩川氏は「限りなくクロといわざるをえない」と指摘し、再調査を求めました。藤村官房長官は「(天下り先の法人の)新たな点は私が受け取り、(再調査を含めて)検討したい」と答えました。
民主党政権は各省による“あっせん”を禁止すれば、「天下り」「わたり」はなくなるといっていました。しかし、その足元で最高幹部自身が、あっせんを繰り返しているという重大な疑惑です。
塩川氏は事務次官昇格を承認した野田政権自身の責任が問われていると指摘。「天下りを全面禁止すべきだ」と強調しました。
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