2011年10月30日(日)「しんぶん赤旗」
弱者支援の政策提唱
イベロアメリカ首脳会議開幕
パラグアイ大統領 新自由主義を批判
【メキシコ市=菅原啓】スペイン、ポルトガルと中南米の主要国が参加する第21回イベロアメリカ首脳会議が28日、パラグアイの首都アスンシオンで開幕しました。テーマは「国家の変革と開発」で、会議は2日間の予定です。
中南米諸国は1980年代から米国や国際金融機関を通じて新自由主義のモデルを押し付けられ、大量の失業と貧困が生み出された経験を持っています。
議長国パラグアイのルゴ大統領は、開会あいさつの中で、参加各国の中で支配的だったモデルは「強制され、輸入されたもので、(いまでは)疲弊している。その結果は大部分の場合、ひどいものだった」と指摘。国家の役割を縮小することを押し付けた新自由主義政策のモデルを批判し、各国の政府は「こうした歴史の教訓を学んできた」とのべ、弱者支援の社会政策重視という「新しいパラダイムの国家を再建する必要性」を訴えました。
国連中南米カリブ経済委員会(ECLAC)が28日に発表した報告によると、欧米や日本の経済が停滞しているのと対照的に、中南米諸国の今年の経済成長は4・4%と予測されています。しかし、欧州の経済危機の影響は一部に現れはじめており、今回の会議でもその対策が話し合われる予定です。
世界銀行のコックス副総裁(中南米担当)は、欧州の危機で一次産品の価格や中国の需要が低下すれば、それが中南米に「重大な経済的影響を与える可能性がある」との見通しを明らかにしました。
イベロアメリカ会議のイグレシアス事務局長は、欧州諸国が危機の対応策を検討する中で、中南米が新自由主義による危機から、内需拡大を重視して安定的な発展へと向かった経験について「あまり注目されていないことは残念だ」と発言しました。
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