2011年10月30日(日)「しんぶん赤旗」

「金融市場に屈した」

欧州労連 ユーロ圏首脳を批判


 【ロンドン=小玉純一】ユーロ圏首脳が27日決定した政府債務問題への包括策について、欧州労連は27日、「金融市場に屈した」と批判する声明を発表しました。

 ユーロ圏首脳会議は、財政不安国の国債を買う欧州金融安定基金(EFSF)の拡充策の一つとして、特別目的事業体(SPV)を設立して、新興国などの官民の投資を呼び込むことを決めました。この点について、欧州労連のベルナデット・セゴル書記長は声明で、「各国政府がたたかうべき有害な機関を付け加えるに等しい」と批判しました。

 そのうえで、欧州中央銀行(ECB)の「最後の貸し手としての役目」を強調。またユーロボンド(欧州共同債)の役割も重視し、「ユーロ圏首脳は、個々の国への金融市場による攻撃に対し、ユーロボンド発行による強い防火壁構築の機会を失した」と批判し、首脳たちに「針路を変え、多くの人々にとっての緊縮と苦境の道を捨てること」を求めました。

 欧州労連は20日、欧州連合(EU)とユーロ圏の一連の首脳会議に先立って、経済情勢に関する宣言を発表。そのなかで「危機発生以降、多くの利益を上げ、株主に配当を、経営者に賞与を与え、さらなる負債と緊縮をもたらしながら、またもや国からの救済を求め、労働者と家族に償わせようとしている」と金融機関を批判し、「労働者がカジノ資本主義の囚人となっている機能不全の制度を終わらせるときだ」と主張しました。


 欧州労連(ETUC) 欧州36カ国の83全国労組、欧州規模の12産別労組が加盟し、傘下の組合員は約6000万人。1973年に設立。欧州連合(EU)の社会的パートナーとして、EUの労働政策に関する協議に関与します。





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