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2020年3月28日(土)

主張

20年度予算成立

経済失政への反省が全くない

 昨年10月からの消費税の増税が消費不況を顕在化させ、新型コロナウイルスの感染拡大が世界でも日本でも新たな経済危機を招く中、2020年度の政府予算が自民・公明の与党の賛成多数で成立しました。同予算は、消費税頼みの傾向を強めるとともに、新型コロナウイルス対策にまともな手だてもしていない問題だらけの内容です。日本共産党など野党が求めた抜本修正を行わず、成立を強行した与党の責任は重大です。苦境に立つ国民の暮らしを真剣に支える政治への転換が不可欠です。

「アベノミクス」の破綻

 20年度政府予算成立の前日に発表された政府の公式の景気判断である3月の月例経済報告は、日本経済の深刻な現実を浮き彫りにしました。景気判断を「緩やかに回復している」から「厳しい状況にある」に下方修正し、景気の基調判断から「回復」という文言を6年9カ月ぶりに削除しました。新型コロナウイルスの感染拡大で個人消費が冷え込み、サプライチェーン(部品供給網)の混乱や先行きの不透明感から生産活動や投資も押し下げられているというのがその理由です。

 月例経済報告の景気判断の下方修正は、安倍晋三首相が第2次政権を発足させた12年12月から始まったと自慢してきた「アベノミクス」による「景気回復」が終わったことを政府自身が認めたものです。この間の経済の悪化は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響だけでは説明がつきません。消費税率の10%への引き上げが深刻な消費不況の引き金を引いたことは明らかです。

 さらに新型コロナによる打撃の大きさは計り知れない状況となっています。2月の全国の百貨店の売上高は前月比12・2%の大幅減となり、5カ月連続のマイナスでした。全国のチェーンストアの売上高も、前月に比べ6・7%も落ち込んでいます。全国中小企業団体中央会の2月の景況調査によれば、消費税増税後に悪化した景況感が、新型コロナの影響で、11年3月の東日本大震災発生当時の水準にまで低下したとしています。日本商工会議所は、新型コロナの広がりによって中小企業の92・1%がすでに経営に影響を受けているか、長期化すると経営に影響が出るとの調査結果をまとめています。

 ところが、安倍政権は、消費税増税を強行したことには全く反省もなく、破綻した「アベノミクス」をさらに進める姿勢を変えません。102兆円を超す20年度予算で、軍事費に過去最大の5兆円余りを投じる一方、社会保障費の伸びはカットする冷たさです。新型コロナ対策には、予備費の範囲内で対応しただけで、当初予算の組み替えや修正には一切応じませんでした。安倍政権の後手後手の姿勢は、大問題です。

消費税減税の決断を

 安倍政権は予算成立後、20年度補正予算を編成し、新型コロナへの対策をとるとしています。一律休校の要請やイベント自粛で仕事や収入を失った事業者や働く人への直接支援や所得補償などが緊急に必要です。

 いま急がれるのは、国民の暮らしを力強く支えるための政治の決断です。経済の危機打開に最も効果的な対策は消費税を5%に減税することです。その実現を求める世論と運動を広げましょう。


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