2003年1月18日(土)「しんぶん赤旗」
政府がとるべき施策の第一は消費税の税率引き下げだと考えている――。東京都信用金庫協会が都内の一万以上の事業所を対象に実施した今年の「経営見通し」についての特別調査(昨年十二月中旬)で、こんな結果が分かりました。
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調査対象の八割近くが従業員九人以下の小規模企業。日本経団連主導で小泉内閣や自民・公明の与党関係者の間で消費税増税に向けた発言が相次いでいますが、調査結果は消費不況に苦しむ中小企業・業者の願いが、こうした増税の議論とはまったく逆であることを示しています。
それによると、今年の日本の景気見通しについては、「非常に悪い」が14・9%、「悪い」が40・6%、「やや悪い」が34・3%。これらを合わせた「悪い」派は九割にのぼっており、きびしい見方をしています。
一方、今年、政府の取るべき施策はなにかとの問い(三つ以内の複数回答)には、「消費税の税率引き下げ」が39・6%でトップ。つづいて「中小企業・雇用対策などセーフティーネットの充実」33・4%、「規制緩和や民営化による需要喚起策」26・0%の順です。
業種別にみると、小売業では「消費税率引き下げ」は52・7%と過半数におよんでいます。規模別では、小規模のところで「消費税率引き下げ」が多く、大規模のところで「規制緩和や民営化」が多いといいます。
日本チェーンストア協会は十七日、与党三党が昨年十二月に二〇〇三年度の「税制改正大綱」を決定したのを受け、「税制改正」に関する流通業界の要望を発表しました。この中で、最近高まっている消費税率引き上げ論議について、「景気低迷が長期化している現在、消費税率引き上げの議論を先行させれば、デフレスパイラルが加速する懸念がある」などとけん制しました。
記者会見した渡辺紀征会長(西友会長)は、「長い目で見れば議論を否定しないが、まずは行財政改革を断行すべきだ」と強調しました。
同会長はさらに、「税制改正大綱」で導入が打ち出された消費税と商品・サービス価格を一緒に表示する「内税方式」に対しても、「消費者は外税方式に慣れているし、便乗値上げも考えられなくもない」と、反対の姿勢を示しました。