日本共産党

2003年1月21日(火)「しんぶん赤旗」

経済・財界気流

消費税増税

献金力に強行突破

企業負担増回避狙い政治に圧力


 日本経団連は、年初に発表した政策提言『活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして』で消費税増税を提言しました。政界も呼応し、消費税増税論議がわきおこっています。大企業本位の政策実現をめざし、日本経団連は政治献金問題にも踏みこみました。(文中敬称略)

18%なら高い

 A ある古株の財界ジャーナリストが「久しぶりに活力のある財界総理がでてきた」と奥田碩日本経団連会長のことを評していたよ。

 B 奥田日本経団連は、年初の新ビジョンで消費税増税の試算を行い、毎年1%ずつ引き上げ消費税を16%にするなどを提言した。

 C 消費税増税は、年金財源のためといわれているけど。

 B 財界の狙いは単純だよ。自民・財界一体となって招いた財政破たんのしわ寄せを国民に押しつけ、企業の社会保障の負担増を回避し、あわよくば軽減することだ。試算では法人税、所得税の税率は変えてない。つまり、すべてを消費税率の引き上げでまかなうというものでしかない。

 A 日本経団連の事務方では消費税率は18%に引き上げる試算をしていたら、奥田が「高すぎる」と注文をつけ、毎年1%引き上げれば16%になるという計算をやり直した。

 C 18%が高くて16%が低いという感覚は理解できないね。

 A 奥田は、昨年十月の日米財界人会議のさい、記者団にたいして毎年1%ずつ引き上げる構想を口にした。そのとき、奥田は、首にあてた自分の手を斜めに振り下げた。それは、消費税増税を口にすれば、政治生命が絶たれる、という意味だった。

 C 自民党政治にとっても、消費税増税は“鬼門”だったからね。

 B 小泉首相が「任期中の引き上げはない」といっていることについては、奥田は「小泉内閣でやるのが一番いい」といってのけた。消費税増税反対の世論を抑え、強行突破させる力の源泉は、献金攻勢しかないということで、さきの「提言」で献金再開を提起した。

“共産党は侍”

 A 財界の中にも異論がある政治献金という伝家の宝刀を抜くところに、財界としての焦りが透けて見える。その照準は野党にも向けられている。財界の政策を実現する政治集団には資金援助は惜しまないということだ。政界再編さえ視野に入っているともいうよ。

 B 逆にいうと、カネで動かない勢力は財界としては恐ろしい存在。さきのジャーナリストは、「共産党は企業献金も政党助成金も受け取っていない。これは日本の政界の中で特筆すべきことだ。共産党は現代のサムライだ」と評価していた。

 C こういう事態のなかで日本共産党の値打ちが増しているのが特徴なんだね。ところで、新年の財界三団体(日本経団連、経済同友会、日本商工会議所)の共同会見で、消費税増税で足並みをそろえたといわれているけど。

 A 日商の山口信夫会頭が「引き上げにやみくもに反対でない。いずれ引き上げなければならない時期が早晩くるだろう」と発言した。これを一部メディアが日商が初めて消費税増税を容認したというような報道をした。しかし、もともと日商は、「消費税引き上げに向けての国民的論議が開始されることはやむをえない」との立場だった。

 B 山口は、財界が増税へ一枚岩になったと受けとめられたことに「悪乗りだ」といい、「需要にマイナスとなる今は無理」と会見で修正をしたからね。

 C 財界側も決して盤石な態勢ではないということだね。


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