2003年1月22日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党の吉井英勝議員が、二十一日の衆院本会議でおこなった政府の財政演説に対する代表質問と、小泉首相の答弁の該当部分を再構成して紹介します。
吉井議員 世界の平和にとっては焦眉(しょうび)の課題であるイラク戦争をどのようにして回避させるのか。イラク攻撃反対が世界的世論となっている時、なぜ、小泉総理は明確に態度を示さないのか。ブッシュ大統領に「戦争やめよ」と日本の意思を示すべきだ。
小泉首相 重要なことはイラクが現在の査察に無条件・無制限に協力し、大量破壊兵器の廃棄をはじめとするすべての関連安保理決議を実際に履行することであり、この点につきわが国と米国の立場は一致している。この問題は国際社会全体が取り組むべき問題であり、わが国としても外交努力を継続していく。
吉井 不良債権処理は倒産と失業を大量に生み出して景気をさらに悪化させ、逆に不良債権を増やす悪循環となっている。
首相 不良債権処理の加速は、金融機関の収益力改善や貸出先企業の経営資源の有効活用を通じて、新たな成長分野へ資金や資源の移動をおこなわせることにつながり日本経済の再生に不可欠のもの。
吉井 社会保障分野と庶民増税で四兆円の国民負担増が強行されようとしている。四月からのサラリーマン健保本人三割負担について、日本医師会などは凍結を求めている。切実な声を無視するのか。この経済局面で四兆円もの国民負担増をかぶせたら、橋本内閣の九兆円負担増以上に大きな打撃を日本経済にもたらしかねない。
首相 今後社会保障給付費は増大していく見込みであり、国民の安心を支える社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、医療保険などの制度改革は不可欠。税制改革は、あるべき税制の構築にむけて税制上のゆがみを是正するなどの観点から増収措置を講じるものだ。全体として経済活性化に資する。
吉井 政府が雇用・中小企業対策として取り組むべきことは、本気でリストラを規制し、失業者の生活支援立法とその予算化をはかることだ。貸しはがしや金利引き上げをやめさせる具体策をとることではないか。
首相 企業はその存続をはかるために雇用調整を余儀なくされる場合があるが、政府は離職を余儀なくされる人への円滑な再就職支援に努める。金融機関による不当な貸しはがしなどを防止するためのモニタリング(監視)体制の強化措置を講じている。
吉井 今回の補正予算案は、総理が景気に効果がないといってきた従来型の大型公共事業の積み増しそのものではないか。
首相 民間需要創出効果や雇用創出効果が高く、かつ事業の早期執行が可能で経済への即効性が高い事業を厳選した。
吉井 小泉内閣が従来型公共事業をやめることができないのは、ゼネコンなど企業からの政治献金を断ち切れないからだ。日本共産党は企業団体献金の全面禁止をおこなうべきだと考えているが、公共事業受注企業などからの献金を禁止する法律をただちにつくるべきだ。
首相 政治献金の在り方については、疑惑を招くことのないような仕組みを考えることが必要だ。