2003年1月22日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 東アジアの経済危機でマレーシアがとった政策が話題になりますが、何をしたのですか。(栃木・登坂)
〈答え〉 一九九七年七月、タイの通貨バーツの暴落をきっかけに、インドネシア、マレーシア、韓国など東アジア諸国で発生した大規模な経済危機は、国際的な大銀行やヘッジファンドと呼ばれる投機集団が引き起こしたものでした。
IMF(国際通貨基金)は、この危機打開のためとして、各国への緊急支援と引き換えに、国民犠牲の緊縮財政や規制緩和などを条件(コンディショナリティー)にしてアメリカ型の経済システムを押し付け、経済主権を奪うやり方をとりました。
マレーシアはこうしたIMF方式をきっぱり拒否し、緊縮財政もやめ、独自の経済再建にとりくみました。九七年九月には▽自国通貨リンギを一ドル=三・八〇リンギに固定▽リンギや国内企業株の海外取引を禁止▽国内企業株を購入した外国投資家の売却益持ち出しを制限―などの措置をとっています。そして九九年後半には高い成長率を回復する成功をおさめ、IMFもマレーシア方式を評価せざるをえなくなりました。
他方、IMF方式は各国でリストラ・大量解雇や外国資本による有力銀行買収などをもたらし、経済と国民生活に重大な打撃を与え、その誤りをIMFがみずから認めて自己批判せざるをえなくなっています。
このことは、あくまで「国づくりは自主的に」おこなう重要性を示しています。IMF方式を受け入れた国々もこれを教訓に、今日では経済危機を乗り越えて経済を再活性化させています。国際的にも、IMFの民主的改革をはじめ、公正・互恵の貿易関係の確立、各国の主権尊重、金融投機の規制など、公正で民主的な新しい国際経済秩序の確立がいよいよ重要になっています。
(清)
〔2003・1・22(水)〕