2003年1月23日(木)「しんぶん赤旗」
サラリーマンの患者負担を、四月から三割に引き上げる必要はない――。日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が、こんな試算を出しました。おもに中小企業の労働者が加入する政府管掌健康保険について、社会保険庁が発表した決算見通しをもとに、二〇〇二―〇四年度の財政収支を推計したものです。「保険財政が厳しい」ことを理由に三割負担を押しつける政府の方針に根拠がないことを示すものです。
それによると、〇二年度は、リストラなどによる労働者の減少や給料の引き下げなどの影響で、収入が前年度より約七百億円減って七兆一千五百億円に。支出は、診療報酬の引き下げによる医療給付費の減少や、七十歳以上のお年寄りの患者負担増などの影響で、前年度より約二千二百億円下回り、約七兆四千六百億円となります。
その結果、単年度で三千百億円の赤字となりますが、前年度までの積立金(事業運営安定資金)が五千億円あるため、差し引き千九百億円の黒字になります。
同試算は〇三年度に政管健保の保険料が値上げされることを前提とした収入増を想定。収入は前年度比三千四百億円の増加を見込み、単年度で約五千億円の黒字に回復するとしました。〇四年度も同様に六千百億円の黒字になると推計しています。
日医総研の報告書は試算をふまえ、政管健保について〇三年度は破たんせず「自己負担を引き上げる必要はない」、〇四年度も黒字が見込まれることから、「サラリーマン本人および家族の入院の自己負担二割から三割への引き上げを、最低二年間延期すること」を提案しています。
二十日から始まった通常国会で、日本共産党など野党四党は、三割負担実施を凍結する法案を共同提出する方向で検討することにしています。