2003年1月25日(土)「しんぶん赤旗」
二十四日の衆院予算委員会で佐々木憲昭議員は、政・財界の消費税増税発言に呼応して小泉首相が「議論は結構だ」などと容認していることを批判、消費税の根本的な欠陥を明らかにしました。
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佐々木氏は国庫に入る消費税額が、導入から二〇〇二年度までに三倍にも増え、反対に大企業などが納める法人税は半減していることを示しました。
導入初年の一九八九年度の消費税は三兆二千六百九十九億円で、租税・印紙収入全体に占める割合は6%。それが二〇〇二年度には九兆五千九百二十億円と三倍に。法人税は十八兆九千九百三十三億円から九兆九千九百億円と半減しました。
国の税収に占める比率は、二〇〇二年度に消費税が22%で、税額とともに法人税(23%)に並びました。(グラフ)
消費税率は3%から5%にアップする一方、法人税率は一九八八年の42%から九九年には30%へとどんどん引き下げられてきました。
佐々木氏は「3%から5%に引き上げた九七年は、医療費負担増などをあわせた九兆円の負担増が消費を冷え込ませ、景気にマイナス作用を及ぼした」と指摘。塩川正十郎財務相はその事実を認めました。
消費税は収入が少ない人ほど負担割合が高まります。年収二百万円未満と千五百万円以上の負担率の差は、税率5%で2・8ポイントですが、日本経団連の奥田碩会長が提唱する16%に上げると、9ポイントまで格差が広がります。
佐々木氏はこの試算を示し、収入の低い人ほど負担が重い消費税の逆進性を告発。塩川財務相は「消費税の性格上、逆進性は包含されている」と答弁しました。
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小泉首相は「私の在任中には消費税引き上げを考えていない」といいますが、閣僚は消費税増税容認の発言を繰り返しています。まず経済産業相に質問――。
佐々木 消費税を16%に引き上げる経団連の構想を「示唆に富んだ提言だ」とのべたのは事実か。
平沼赳夫経産相 国民が納得するという前提で考えれば、一つの示唆に富んだ提言だというニュアンスでのべた。
佐々木 国民は納得しない。
続いて、社会保障の財源確保のため間接税の比重を高めるべきだとのべた塩川財務相。
佐々木 なぜ法人税引き上げでなく、間接税中心という発想なのか。
塩川 直間比率を見直さなければ高齢化社会の負担増にたえられない。
佐々木 法人税を上げる議論が出てこないのは、裏に何かあるのではないか。
塩川 そこは共産党との思想的違いで、国際競争のなか企業活動を活発にするため法人税率を国際水準に近づけるため下げざるを得ない。共産党はとにかく企業から(税金を)取ったらいいというのが理想だろうが、社会の活力がなくなる。
佐々木 法人税率は国際水準以下だ。大臣の答弁を聞くと、献金をくれる大企業のためには減税し、庶民には負担をかぶせる。自民党と共産党の違いが明確に出ている。
日本経団連の提言(今月一日)は消費税増税とともに法人税減税を求め、これを実現する政党や政治家にカネを配るとしています。
佐々木氏は、自民党が大企業には増税せず、国民の側にだけ負担を押し付ける理由を指摘しました。
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三番目の閣僚は坂口力厚労相。厚労省は基礎年金支給に必要な費用として、二〇二五年に14%の消費税増税が必要だと試算しています。
佐々木氏は、公明党が一九八九年に消費税廃止の代替財源法案を社会党、民社党、連合参議院とともに共同提出し、九二年の参院選重点政策でも消費税廃止を唱えていたことを指摘しました。
佐々木 公明党はもともと消費税導入に反対といっていて、廃止の政策を掲げていた。
坂口厚労相 それはそういうときも確かにあった。導入するときの話だ。しかし年々刻々状況は変わっている。法人税、所得税を高くすれば(大企業、高額所得者が)海外に出ていってしまう。そうしたことを勘案して全体の税制を考えていくべき時期にきているといっている。
佐々木 答弁を聞いていると、この程度の公約は大したことはないという印象を持つ。
国債三十兆円枠の公約を「大したことはない」と口を滑らせた昨日の小泉首相の答弁を思わせる展開に、議場から笑いが起きました。
佐々木氏は重ねて、坂口氏自身の選挙公報(一九九〇年二月)を示して追及。
佐々木 明確に消費税廃止といっていた。公約をどう位置付けているのか。
坂口 公約というのは四年間どうするかというもので、未来永劫(えいごう)これでいくということではない。時代が変わればそれに対する考え方も変わっていくのは政治家として大切だ。
佐々木氏は「時代が変わったのでなく、公明党と大臣の姿勢がクルクル変わった。こんな国民を愚弄(ぐろう)するやり方はない」と批判しました。
佐々木氏は、政府が将来の税率引き上げをめざして消費税の免税点を売り上げ三千万円から一千万円に引き下げるとしている問題を取り上げました。
不況で売り上げが減っている中小・零細業者にとっては、消費税分を価格に転嫁することが困難で、免税点引き下げは死活問題です。平沼経済産業相は昨年の調査で、消費税を「転嫁できない」と答える業者が半数を超え、五年前より若干増えていると答弁。さらに、免税点引き下げで納税を迫られる業者が百四十万社増えることが明らかになりました。
「平成十六年四月の実施までPRに努める」という平沼経産相に佐々木氏は、「業者が身銭を切る事態は解消されない」と、増税の地ならしとなる免税点引き下げに反対を表明しました。