2003年1月28日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党の矢島恒夫議員が二十七日の衆院本会議でおこなった二〇〇二年度補正予算案についての反対討論(要旨)は次の通りです。
日本共産党を代表して反対討論をおこないます。
小泉内閣は、「構造改革」路線のもと不良債権の処理を加速し、大企業のリストラを支援し、社会保障と医療制度の大改悪をすすめました。
あらゆる分野で国民に「痛み」を押しつけ、日本経済と景気をいっそう冷え込ませた結果、大不況をまねき、二兆五千億円をこえる税収不足に至ったのです。これは小泉政治の破たんを示すものにほかなりません。
いまなすべきことは、国民生活をまもる緊急対策を実行することです。第一に社会保障の負担増を中止すること、第二に庶民への増税計画をやめること、第三に中小企業つぶし政策を転換すること、第四に雇用と失業対策を充実することです。ところが補正予算案は、このような国民が願う方向に逆行するものです。
第一の反対理由は、国民の暮らしと営業をまもり、冷え込んだ個人消費をあたためる抜本策が盛り込まれていないことです。
景気回復にはGDP(国内総生産)の六割を占める個人消費をあたためることが不可欠です。社会保障の改悪をやめ、四兆円の国民負担増を中止し、暮らしに軸足を置いた経済政策に転換することは緊急の課題です。しかし、補正予算案は国民生活への手厚い対策は何らとっていないのです。
第二の理由は、不良債権処理の加速による“中小企業つぶし”と失業者の大量増加を大前提としたものだからです。
雇用と中小企業の対策について、口先でいくら「安全網の強化・充実」をうたっても、数百万人規模の失業者に対応しきれないことは明らかです。政府がなすべきことは、本気で大企業のリストラを規制し、失業者の生活支援立法とその予算化をはかること、銀行等による「貸しはがし」や金利引き上げをやめさせる具体策をとることです。
第三の理由は、「構造改革推進型の公共投資」の名のもと、旧来型の大型公共事業を推進し、財政破たんにいっそう拍車をかけるものとなっていることです。
一兆五千億円にも及ぶ公共投資の中心が、採算の見通しがまったくない中部国際空港などの拠点空港、「むだ遣い」との批判を受けている道路建設、ダム建設です。首相自らが「景気に効果がない」と言ってきた公共事業の積み増しです。
小泉首相は、本年度当初予算で、公共事業費を一割、額にして一兆円削減し、さらに道路特定財源から二千億円あまりを「一般財源化」したことを、「改革の成果」と自慢してきました。
しかし、補正予算で多大な額を投入することにより、公共事業費がかえって増大したことは明らかではありませんか。「一般財源化」したはずの道路特定財源が結局、すべて道路に使われるのです。
こうした「まやかし」とむだ遣いの結果、今年度の国債発行額は三十五兆円、国・地方の長期債務残高は七百五兆円にも達する深刻なものとなるのです。
補正予算案はただちに撤回し、国民の暮らしと営業を支援する方向で、組み替えるべきことを強く要求し、反対討論を終わります。