2003年1月29日(水)「しんぶん赤旗」
「政治とカネ」問題で自民党が実効ある手だてをとらないなか、自民党長崎県連の違法献金事件をはじめ汚職腐敗が後を絶ちません。日本共産党の畑野君枝議員は二十八日の参院予算委員会で、ムダな公共事業が止まらない背景に「政治とカネ」の結びつきがあると告発しました。
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畑野氏が取り上げたのは、関西国際空港の二期工事。自民党長崎県連の前会長・久間章生政調会長代理の秘書が、二期工事を受注した砂利業者から五千万円をコンサルタント料として受け取っています。畑野氏は、秘書に大金が払われる理由として、久間氏自身と二期工事との深いかかわりを明らかにしました。
畑野 久間氏は砂利業者の元請けである五洋建設から三年間で百五十万円を、関空二期工事の受注業者からは三年間で総額五百六十九万円を受け取った。重大な疑惑があるのではないか。
小泉 いま初めて聞いたことでなんとも言いようがない。
畑野氏が重ねて「きちんと調べてほしい」と追及すると、首相は「どういう事情か分からないがよく聞いてみたい」と約束しました。
現在の関空の発着能力は約十六万回です。ところが実際の発着回数はこれを下回る約十二・一万回にすぎず、新たに滑走路をつくる必要はありません。
なぜ、二期工事を強行しようとするのか―。畑野氏は、ムダを承知で推進する勢力として、二つの存在を指摘しました。一つはゼネコンで、もう一つは工事を推進する「与党関西国際空港推進議員連盟」です。
同議連は目的を「関西国際空港の二期事業の予定通りの完成・開港と全体計画の早期実現を強力に推進する」(写真)として、会員には自民・野中広務元幹事長(顧問)や谷垣禎一国家公安委員長(副会長)、公明党の冬柴鉄三幹事長(顧問)、坂口力厚労相などが名を連ねています。
畑野氏は、この議連に加盟する国会議員が二期工事受注業者から献金を受け取っていることを明らかにしました。
畑野 議連の国会議員二十六人への献金は総額三千五百九十六万円にのぼっている。二期工事が止まらないのはここに理由があるのは明らかだ。
小泉 献金があったから事業を進める、なかったから進めないという問題ではない。なかには応援する人が「地元のためにやってるな」と思えば喜んで献金してくれるところもある。献金とすぐ公共工事とを結びつけるのは若干無理があるのではないか。
畑野 まっすぐ結びついていますよ。国民が見れば、なぜムダな公共事業が進むのか、政治家にとってうまみがあるからと思うのは当然だ。
首相の無責任な答えには、野党席からも「そんなことはない」と声があがりました。畑野氏は改めて、公共事業受注企業からの献金禁止を強く求めました。
関空二期工事のようなムダな事業に税金を使う一方で、やるべき公共事業はどうか。畑野氏は、全国調査で耐震性に疑問がある施設と答えた学校・幼稚園が54%、医療機関が44%にのぼっていることを紹介しました。
畑野 危険な建物がたくさん残されているということだ。計画を持って対策を進めるべきではないか。
小泉 公共工事は必要なところに予算をつけ、見直すべきは見直す。
畑野氏は文部科学省の試算でも、耐震補強・改修工事に経済波及効果があるとのべていることから、「国民が望む公共事業を真っ先にやるべきだ」とのべ、予算の使い道の転換を主張しました。