2003年1月30日(木)「しんぶん赤旗」
「どこの国が攻めてくるかもはっきりしない。(政府の説明を)国民はまゆつばで聞いている」――。二十九日、内閣官房が全国市長会の会合でおこなった「国民保護法制」の説明で、参加者から、異論や疑問が飛び出しました。
この日の説明は、政府が有事法案成立に向けた“地ならし”を狙っておこなったもの。参加者の三分の二が市長本人。初めに大森敬治内閣官房副長官補らが「国民保護法制」について説明し、その後の質疑で、三人が発言しました。
発言した一人は、有事法制に賛成だとしつつ、「以前政府は陣地構築のために土地を収用すると説明した。まるで日露戦争のときのようで、まともに聞いてられない。テロのときに、この法律は機能するのか」と強い口調で発言。別の発言者は、「どういう事態を武力攻撃事態と認定するのか」と質問しました。
大森官房副長官補は、テロ対処への疑問に、「(有事法案は)基本的にわが国への武力攻撃への対応の枠組みだ」と、対象外となっていることを説明。一方、基本的に対処する武力攻撃事態の具体的中身については、「たしかに大規模な国と国の戦争の可能性は非常に低くなった」「いろいろな事態があり、一概にどういう事態かは申し上げられない」と苦しい説明に終始しました。
「国民保護法制」について、別の発言者が「われわれ戦争を体験した者なら、何かあったら、消防で消火、避難は学校へと、(政府から)細かいこと説明されんでも、たいていのことはできる」と必要性に疑問をぶつけると、うなずく参加者の姿もありました。