2003年1月30日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本の青年雇用対策は欧州より遅れているそうですが、どれくらいの違いがありますか。(愛知・一読者)
〈答え〉 二〇〇一年七月以降、「完全失業率」は過去最悪の5%台が続いています。とくに十五歳〜二十四歳の青年では10%台の高水準です。職探しを断念した人などもいれると実態は二倍以上ですから、青年の五人に一人は仕事がありません。就職した青年も不正規・不安定雇用が増え、高卒では正社員を上回ります。青年は仕事を通じて能力を伸ばすこともできず、技術の断絶など社会的影響もはかり知れません。しかし政府の対策はハローワークへの登録を指導させる程度で、各国に比べても大きく遅れています。
OECD(経済協力開発機構)が毎年発表している「エンプロイメント アウトルック」で一九九九年の各国の若年雇用対策費をGDP(国内総生産)比で比較すると、フランス0・40%、イギリス0・15%、ドイツ0・08%ですが、日本はあまりに小さいため「―」と表示されています。厚生労働省によれば日本は0・003%(千分の三パーセント)です。
フランスとは百倍以上、ドイツと比べても三十倍近い差があり、この分野での日本の遅れは歴然としています。実際、職業訓練を受ける青年への生活保障や、国・自治体が直接・間接に行う雇用創出事業など、各国がとりくんでいる積極的な施策が日本にはほとんどありません。しかも英仏独各国は対策費を毎年増額してGDP比も高めているのに、日本は毎年0・003%の水準です。
昨年十一月、日本共産党の石井郁子衆院議員が国会でこの問題を追及しましたが、政府は、対策の中身や失業率・雇用慣行などが違うから「一概に比較することはなかなか難しい」などといい訳するばかりで、問題の存在すら認めません。こんな姿勢を改め、青年失業者・未就職者に仕事や職業訓練を保障するなどの政策に本気でとりくむべきです。
(水)
〔2003・1・30(木)〕