2003年2月1日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は一月三十一日、国会内で小泉首相の施政方針演説の感想を記者団に問われ、「国民が政治に真剣に求めているさまざまな問題をどうするかの答えがまったくない。空疎な作文をつなぎあわせて読んだだけのものだ。小泉政権が、国民にたいして訴えるべき中身をもたなくなってしまったことが非常にあらわに出た」とのべました。
小泉首相が「デフレの克服」と「構造改革の断行」を並べてのべたことについて、「デフレの最大の原因は、需要の落ち込みだ。そのときに『構造改革』のかけ声で四兆円の国民負担増を強いて、中小企業つぶしをやる。これでは『デフレ克服』どころか?デフレ加速?になる」と指摘。「相反する二つのことを両方並べ、どう整合がとれるかの説明もない。経済政策でも完全に自己破たんに陥っている」と批判しました。
またイラク問題では、国連の査察の努力を中断し、一方的な軍事行動に出ようとしているアメリカに一言もいわないなど、「対米追随姿勢があらわになった」と指摘。「政治とカネ」の問題では「いちおう『反省』はいうが、問題となっている企業献金、とくに公共事業受注企業からの献金問題で国民が禁止すべきだと求めているのにまったく回答がない。自浄能力を発揮し、まともな前向きの道を探ろうとする姿勢がみられない」とのべました。
小泉純一郎首相は一月三十一日、衆参本会議で施政方針演説を行いました。
昨年の施政方針演説で「着実に動き出している」と見えを切った小泉「構造改革」については、「改革は途(みち)半ばにあり、成果が明確に現れるまでにはいまだしばらく時間が必要」とトーンダウン。しかし、破たんが明らかになった不良債権最終処理の加速策など四つの「改革」を依然として推進すると宣言しました。
また、「暮らしの構造改革」と称して個別政策を羅列するなか、社会保障の「給付と負担のあり方について正面から取り上げ、国民的な開かれた議論の下に改革を継続していく」とのべ、年金の財源として取りざたされる消費税増税などの議論を進めることを示唆しました。
あっせん収賄罪で有罪が確定、失職した中村喜四郎元建設相や自民党長崎県連の違法献金事件などを「重く受け止める」としながら、具体的な公共事業受注企業からの献金規制にはふれませんでした。継続審議の有事関連法案については「今国会における成立を期す」と意欲を見せました。
最後に「大事なことは失敗しないことではなく、失敗を次の成功に生かすこと。人生で大切なことは、挫折してもくじけず、また立ち上がること」と、小泉「改革」で生活を打ちのめされた国民にさらに忍耐を強いるような精神論を展開して演説を結びました。