日本共産党

2003年2月2日(日)「しんぶん赤旗」

風力発電などへの日本のとりくみは?


 〈問い〉 近年、世界の風力発電が急速に伸びているようですが、日本のとりくみはどうですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 温暖化ガス削減や脱原発の世論が広がる中、風力や太陽光熱、バイオマスなどの自然エネルギーに関心が高まっています。とくに風力発電は、技術革新なども背景に、一九九〇年代から急速に伸びました。「世界国勢図会」などによると、九六年に六百万kwだった発電設備容量は二〇〇一年には二千四百万kwを超え、五年間で四倍化の勢いです。

 とくにヨーロッパは九六年の三百五十万kwから〇一年の千七百万kwへと五倍化し、世界の風力発電設備容量の七割を占めます。九〇年代に風力発電量を百倍化したドイツは、国内電力需要の3%を供給するまでになりました。デンマークのように電力の一割を満たす国も現れています。

 しかし日本では、近年自治体などによって増設が進んだものの、〇一年で三十万kwにすぎず、インドや中国にも及びません。原発増設に固執する一方、風力発電などには冷淡な日本政府の姿勢が背景にあります。

 たとえばドイツは、風力発電などが採算可能な電気価格を設定し、電力会社に買い取りを義務づけました。他方、日本政府は価格設定を拒否し、昨年は競争入札で安い「新エネルギー」を電力会社が買い取る制度を導入しました。廃プラスチックなどを燃やして温暖化ガスを排出し、環境破壊の危険もある廃棄物発電が、「新エネルギー」とされて競争に加わります。価格で不利な風力や太陽光発電が駆逐されかねず、二〇一〇年までに三百万kwの風力発電を導入する政府目標も危ぶまれます。

 また昨年九月に南アフリカのヨハネスブルクで開かれた環境・開発サミットで、EU(欧州共同体)が風力など「再生可能エネルギー」利用を高める数値目標を提案しましたが、日本が米国とともに反対にまわったため、目標設定もできませんでした。

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 〔2003・2・2(日)〕


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