日本共産党

2003年2月6日(木)「しんぶん赤旗」

憲法9条改悪もり込む

自民

国防小委提言 地球規模で米軍協力


 自民党国防部会の防衛政策検討小委員会(浜田靖一委員長)は五日、党本部で会合を開き、憲法九条改悪や集団的自衛権の行使を認めることなどを盛り込んだ提言「日本の防衛政策の構築」(骨子)を了承しました。

 骨子は「自衛隊を有効に機能させるため」として「(憲法)9条の改正」を掲げ、「自衛隊を軍隊と位置づけ、国際の平和・安全の維持・回復を目的とする行動への参加」を明文化するよう要求。米軍や多国籍軍などによる軍事行動への自衛隊参加を憲法上明記するよう求めています。

 「日米同盟の実効性確保にかかる施策」として「世界的規模で、『新たな脅威』に有効に対処するための協力の確立」を強調。「集団的自衛権の行使を認めた上で、BMD(弾道ミサイル防衛)を始め新たな脅威への対処、地域の平和と安定等に資するための新たな協力要領(ガイドライン)を作成」するとし、日本の集団的自衛権の行使を前提に、地球的規模での日米軍事協力に関する新指針の策定を提言しています。

 骨子は、有事法制を「喫緊の課題」の第一に掲げ、今国会での成立を要求。このほか、ミサイル防衛の推進や防衛「省」への昇格などを列挙しています。

 国防部会は今後、骨子をたたき台に検討を加え、提言としてまとめる方針です。


解説

有事法制の危険さらに

 自民党の防衛政策検討小委員会が五日に了承した提言骨子に貫かれているのは、“米国とともに世界のどこででも戦争ができる国づくりを”という危険な衝動です。

 これまで強行されてきた自衛隊海外派兵法=PKO(国連平和維持活動)法や周辺事態法、テロ対策特措法でも、政府は、集団的自衛権の行使が憲法上禁止されているため、米軍とともに自衛隊が海外で武力行使することはできないと説明してきました。提言骨子は、憲法九条の改悪や集団的自衛権の行使を認めることによって、その制限さえもとりのぞくことを要求し、「世界的規模」での日米共同作戦を可能にしようと狙っています。

 しかし、そこまでつき従おうとする相手の米国は、国連憲章を無視した先制攻撃戦略を打ち出し、その第一弾としてイラクへの武力行使を辞さない姿勢をみせています。これには米国の同盟国を含む世界中から強い批判が巻き起こっています。提言骨子が狙う将来の日本の国家像は、平和を願う世界の流れに対する挑戦というべきものです。提言骨子が「喫緊の課題」の第一に「有事法制」を挙げたことは、同法制の危険性をいっそう浮き彫りにしています。

 政府・与党は有事法制を日本が攻撃を受けたときの「備え」だと強調しますが、提言骨子の中で描かれているのは、自衛隊が常時、世界に出動し国連憲章違反の共犯者となって、米国とともに戦争を繰り広げる世界です。

 そこで発動される有事法制は、地球的規模で展開する米軍と自衛隊の軍事作戦を国民動員で支えるものとなることは明らかです。それは、「日本防衛」どころか、日本と世界の平和をいっそう脅かすものです。(田中一郎記者)


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