2003年2月16日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 小泉内閣は雇用保険の給付削減を計画して、どうして「セーフティーネットは万全」というのですか。 (神奈川・一読者)
〈答え〉 小泉内閣が進める不良債権の早期・最終処理「加速」路線では今後も大量の失業者が生まれますが、小泉首相は、予算案などで「早期の再就職の支援など、雇用のセーフティーネットに万全を期した」(二月四日、衆院本会議)と説明しています。しかし政府の「セーフティーネット」は大量解雇と労働条件切り下げを不動の前提にしており、国民が求める雇用・生活保障とは異質です。政府にとっては失業中の命綱である雇用保険給付を削減することも「早期再就職を促進」する「セーフティーネット」となります。
政府が今年五月の実施をめざす雇用保険改悪は、▽失業給付の下限を離職前賃金の50%に減額(現行は60%以上)▽定年や「自発的」離職など「一般離職者」への給付日数を、最長百五十日までに短縮(現行百八十日)―などで、雇用保険の給付は年約六千億円の削減です(五月実施の二〇〇三年度は約三千億円)。
すでに二〇〇一年実施の雇用保険改悪で、「一般離職者」の給付日数が最長百八十日までに短縮されるなど、給付は五千億円削減されています。政府統計でも完全失業者で失業給付を受けている人は二割に低下し、五割は「収入なし」ですが、これに追い打ちをかけるものです。
政府の政策による大量失業で悪化した雇用保険財政を、失業者への給付削減などでとりつくろう改悪ですが、小泉首相によれば「将来の安定的運営を確保」し「雇用のセーフティーネットとしての役割を適切に果たせるようにする」(二月四日、衆院本会議)ためとなります。また「失業給付の水準について再就職時との賃金の関係を考慮した」(二月五日、参院本会議)とも説明しています。再就職の賃金が失業給付さえも下回ることが多くなったといって、再就職「促進」のために給付削減をするという、失業者をむち打つ発想です。
(博)
〔2003・2・16(日)〕