日本共産党

2003年2月19日(水)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

国民負担増、介護保険

国は責任を果たしてない

衆院予算委 児玉議員の質問


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質問する児玉健次衆院議員=17日、衆院予算委員会

 今国会で問題になっている国民負担増と、実施後三年をへて見直しがおこなわれる介護保険をどうするのか――十七日の衆院予算委員会で日本共産党の児玉健次議員が明らかにした焦点は――。

国の負担を元に戻せ

3割負担の凍結を要求

 保険料引き上げや給付削減について政府は「持続可能」な制度にするためと説明しています。しかし、「持続可能」な制度にするために政府は何をやってきたのか。

 児玉議員 政府管掌健康保険の国庫補助率は法律で16・4%〜20%と定めているが、九二年に黒字を理由に13%にしたままだ。十一年間で一兆六千億円補助が削られ、政管健保の財政困難を生み出した。国の負担を本則通り元に戻すべきだ。

 坂口力厚生労働相 高齢者医療は大変な状況だ。全体として国庫負担は増えていく。

 児玉 国庫補助は健保の中心的柱だ。政府は順守する義務がある。

 政管健保の赤字を理由に国民に三割負担を強要しながら、法律が定める国の責任さえ果たそうとしない政府。児玉氏は、外国に比べて三倍以上も高いといわれる医療機器の内外価格差解消や、価格が半分で成分・薬効が変わらない「後発薬品」への切り替えをすすめているのかただしました。

 坂口氏は「薬剤は医師のこだわりがある。(切り替えは)強制できない」などと答弁。

 児玉氏は「おこなうべき努力をすすめているとはいえない」と批判。国民に負担増を押しつけることをやめて、野党が共同提出している三割負担凍結法案を受け入れるべきだと主張しました。

入所待機は契約不履行

施設整備に全力をあげよ

 「家族介護から社会が支える制度へ」などと宣伝された介護保険制度の現実はどうなったのか。

 児玉氏は、特別養護老人ホームについて党国会議員団がおこなった独自調査を示し、全国に二十三万人の待機者がいる事実を明らかにしました。

 児玉 発足時に全国で配られたリーフレットには「介護保険施設サービスが受けられます」とあり、「施設が足りなければ待っていただく」とは書いていない。介護保険は保険契約にもとづくものだ。契約は履行されなければならない。

 坂口 介護保険は在宅中心でスタートしたが、施設の希望が多くなっているのも事実だ。さらに施設をつくっていかなければならない。

 政府は〇四年度までに特別養護老人ホームを三十六万床整備する計画ですが、昨年八月で三十二万九千二百三十床の整備しかすすんでいません。

 児玉氏は、介護保険にたいする信頼が根底から崩れることになるとして施設整備に全力をあげるよう要求。坂口氏は「かなりピッチをあげて増やしている」とのべました。

特別対策続けるべきだ

介護利用料の軽減求める

 介護認定を受けた二百九十八万人から、在宅・施設サービス受給者を引くと、六十九万人がサービスを受けていない計算になります。

 児玉氏は内閣府の研究会報告で、訪問介護サービス利用者が全体では増えているのに年収三百万円以下の世帯では25%も減少していることをあげて、「利用料の負担が重すぎるからだ」と指摘。政府が「特別対策」として実施している低所得者の訪問介護利用料を、3%から6%に引き上げ、わずか年間十億円程度の国費を削ろうとしていることを批判しました。

 児玉 特別対策は続けるべきだ。介護への政府の姿勢が問われる問題だ。

 坂口 3%の人以外はみんな普通の額を払っている。この人たちだけすえおくわけにいかない。

 児玉氏は、東京・武蔵野市で訪問介護、通所介護、通所リハビリの利用料を所得制限なしで3%に軽減し、在宅サービス利用率が全国平均より10%高いことを紹介、「こういう経験こそ学ぶべきだ」とのべました。

保険料引上げ中止を

「調整交付金」外枠化で財源

 自治体の介護保険料見直しで、二千億円の負担増が計画されています。

 児玉 負担を市町村だけに押しつけず、国が引きうけ、保険料の引き上げを中止すべきだ。

 坂口 だれかが負担しないといけない。すべて国が出すのは社会保障ではない。

 国庫負担は削りながら“すべて国が”などとごまかす坂口氏。

 児玉氏は、現在25%の国負担に含まれる「調整交付金」(七十五歳以上の高齢者の比率が高い自治体などに重点配分)5%分を国負担の外枠にすれば、約二千四百億円の財源が確保できると指摘。この措置を全国町村会なども求めているとのべ、「このままでは保険制度から大きくかけ離れてしまう。思いきった改善措置を講じるべきだ」と強調しました。


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