日本共産党

2003年2月19日(水)「しんぶん赤旗」

自治体と文化 削減か充実か(2)

オーケストラにしわ寄せ

助成削減、給与カット…


 「経営危機の札幌交響楽団 再建へ人件費削減も」(一月十九日付「産経」)。日本で恒常的に活動しているオーケストラは、二十六団体ありますが、地方自治体の支援が大きな比重を占めるオーケストラは十三。多くの自治体の文化予算削減で、深刻な状況に追い込まれています。

マイナス次つぎ

 こうした地方のオーケストラは、地域で音楽を伝えようと、演奏会だけでなく、子ども向けの鑑賞教室などの教育プログラムを積極的に行っています。これらはもうけを目的としておらず、独立採算になじまないからこそ、地方自治体が支援してきたのです。

 ところが、「自治体の財政破たんでオーケストラへの補助金カットという大ナタがふるわれています」(日本音楽家ユニオンオーケストラ協議会議長の高倉理実さん)。名古屋フィルハーモニー交響楽団の場合、愛知県からの助成が四年間で36%削減され、名古屋市からは、二〇〇三年度から二〇〇七年度まで、六千万円以上削減されることが通告されています。大阪センチュリー交響楽団も、府「行財政計画案」で、「自立的経営を促進し、府の補助のあり方を見直す」とされています。

 最も激しい攻撃を受けているのが東京都交響楽団です。都の「財政再建計画」にしたがって、「東京都交響楽団経営改善緊急行動計画」なるものが策定され、一九九九年に十四億二千九百万円あった助成が、二〇〇三年には十億二百万円と、30%、四億円以上も削減することになりました。

 こうした助成削減は、結局、専門家である楽団員にしわ寄せされます。札幌交響楽団の楽団員の平均年収は五百八十万円余ですが、赤字解消のため、一人年平均五十万円の削減が決められました。神奈川フィルも一時金カット、給与13%のマイナスが続いています。

 文化芸術振興基本法は、専門家の「地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう」(二条)とうたいましたが、およそ逆行する事態となっています。

いきなりとは

 東京都響「計画」は、「一時金に業績評価結果を反映」「定期昇給の五十五歳停止」など、楽団員の待遇を改悪する計画までもりこんでいました。ところが、東京都は、「事務事業評価」(二〇〇〇年)で都響にたいし、「D 抜本的な見直しが必要」と断定。「計画」以上に楽団員を削減することなど、あらたな改悪をすすめています。「理念や検討もなく、いきなり減らすことを決めてくる」(高倉さん)という状況です。

 東京都の「計画」も、「オーケストラは構造的に独立採算が困難」ということは認めており、公的支援の充実こそが求められています。しかし、実際にやっているのは、専門家のリストラでしかありません。これでは、自治体による事実上の責任放棄といわざるをえません。

つづく


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