2003年2月20日(木)「しんぶん赤旗」
これまでの借家制度を壊し、契約期限がくれば、貸主の都合で、借家契約が解約できる「定期借家制導入法」成立(一九九九年十二月)の陰に献金攻勢――。一面所報のように、不動産業者が加盟する全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の政治団体である全国不動産政治連盟(全政連、藤田和夫会長)と、傘下の東京不動産政治連盟(東政連、同)の二団体によるカネ配りは、自民党、公明党などに広がる、すさまじいものでした。
別表のように、不動産業界と関係の深い「建設族」議員や、法案提出や審議にかかわりのあった政治家に分厚く献金されていることが特徴です。
献金トップは、旧建設省で不動産課長などを歴任し、不動産業界に自民党費一億円の立て替えをしてもらっていた清水達雄参院議員の四千九百八十万円。九八年七月に、「定期借家権」制度の導入などのために設置した「定期借家権等に関する特別調査会」(会長・保岡興治元法相)の幹事長として、定期借家制導入法制定の先頭に立ちました。
保岡会長は八百三十五万円、同調査会顧問の綿貫民輔衆院議長は四百二十万円、山本有二幹事(衆院議員)は二百二十万円の献金をそれぞれ、受け取っています。
全政連などの工作の一つのポイントは、九九年の第百四十五通常国会まで一度も審議されず、いったん廃案になった法案をどう生きかえらせるか、ということ。そこで注目されるのは、自民党三役と全宅連はじめ、不動産関連業界で結成した「定期借家推進協議会」との懇談です。
東政連の「親団体」、東京都宅地建物取引業協会(藤田和夫会長)の機関誌『月刊宅建』(二〇〇〇年一・二月号)に掲載された「特集 定期借家制度の成立」にはこんな記述が――。
「この状況を救ったのは、第145国会開会中の昨年7月13日の、自民党三役・国対委員長・藤田協議会世話人(本会会長)会談で、この時、『借地借家法一部改正案』を取り下げ、別の新法案を作成し国会提案の出し直しを図る、という可能性をツメていくことが確認されました」
これにかかわった当時の森喜朗幹事長(前首相)は七百九十四万円、古賀誠国対委員長(前幹事長)は千二百五十万円と、献金額が突出しています。
自民党とともに、大きな役割をはたしたのは、政権与党入りした公明党です。
「定期借家推進協議会」が九九年六月二十五日に開いた総会には、公明党の太田昭宏幹事長代行が出席。「党内の意見はまとまってはいないが、私自身は定期借家制度の経済全体に与える重要性を認識しており、自自公の枠組みの中で期待にこたえられるように最大限の努力をしていく」と決意を表明しています。(「住宅新報」九九年七月十六日付)
太田昭宏幹事長代行は、新法案提出後の同年十月二十七日、二十万円を受け取ったのをはじめ、計四十万円となっています。
「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法案」と衣がえした新法案は、自民、自由、公明三党によって、九九年七月三十日に提出され、それまでの法務委員会ではなく、建設委員会に付託されました。
同法案の提出者には、公明党の井上義久幹事長代理も、自民党議員らとともに名前を連ねました。井上氏は、衆院建設委員会の理事として法案審議にも参加。六十万円の資金提供を受けています。