2003年2月20日(木)「しんぶん赤旗」
開業医師や歯科医師九万八千人を組織する全国保険医団体連合会(室生昇会長)は、会員の医療機関や街頭で「健保三割負担は凍結を」と求める署名をよびかけています。
ティッシュに折りこんだはがき署名は一月下旬から配布をはじめ、十七日までに六千六百八十四枚、一万四千二百四十六人分が戻ってきています。ティッシュを受け取った人がはがきを取り出して署名し、投かんした貴重な一筆一筆です。署名の住所は北海道から沖縄まで。
こうして集まったはがきの「私のひと言」欄には、深刻な暮らしと願いをつづったものが少なくありません。
「収入が年三十万円も減り、給料日前はピーピーで子どもの歯の治療にもいけません。今以上苦しめないで」(秋田)
「今年で満六十歳。定年です。高血圧など現在薬をのんでいます。年金は六十一歳からにのばされ、妻は持病。そのうえ三割負担は大変すぎます」(大阪)
「給与は削減され本当に苦しいなかで健保三割負担。医療費の負担増はとんでもない話です。なんのために税金を納めているのか。悲しくなります」(北海道)
「前立腺肥大で継続して薬をのむようにいわれています。年金生活で家計が苦しく一時中断しています。三割になったらと思うと目の前が暗くなります」(神奈川)
「年金を二十年かけて夫婦二人で月十万円。団地家賃五万円でどう暮らすのか」(埼玉)
「脳下垂体の病気で薬は一生飲みつづけなければならない。そのうえ仕事もあまりありません。生活ぎりぎりです。医療費の負担増なんてとんでもない」(埼玉)
「リストラ家族」と一言だけ書かれたものもあります。
「負担増になれば、医療の必要な人が病院にこられなくなる。重症化すればかえって医療費がかかることになります」と話すのは、署名に熱心にとりくんでいる福岡県保険医協会の佐々木秀隆副会長(医師)。
「小泉首相は持続可能な制度にというが、全く逆だ。福岡市では、すでに十月の高齢者負担増以後、経済的理由で入院を拒否した老夫婦が亡くなるという事態がおきています。このようなことを許してはいけない。これまで開業医を五十軒訪問してきましたが、ほとんど負担増反対です」といいます。