2003年2月21日(金)「しんぶん赤旗」
母子家庭に支給されている児童扶養手当をめぐり、国の制度の改悪で昨年八月から、手当を減額されたのは不当だとして、岡山市内の十一人の女性が県知事に起こしている審査請求で、十九、二十日の両日、口頭意見陳述がありました。
岡山県生活と健康を守る会連合会の尾崎茂正事務局長、関藤香代子次長、日本共産党の近藤紗智子県議らが代理人として立ち会いました。
二人の子どもを育てる森下博美さん(43)は次のように訴えました。
「うどん屋さんに朝九時から夕方五時まで、日曜は朝九時から夜八時まで働いています。長女の高校入学時の費用などをカードで借り、月二万円、ボーナス時五万四千円支払っています。長男の授業料が月三万三千円かかり、就学資金を借りました。毎月の支払いに追われ、国民健康保険料の支払いができません。先のことを考えると眠れなくなるので考えないようにしています。そんな時に児童扶養手当が口座に振り込まれたら生き返った気持ちになります。国の都合で減額されたらたちまち支払いに困ります。子どもたちに学力をつけてあげたい、こんなことを母子家庭になった母親は望んではいけないんでしょうか」
六年生の長女と二人暮らしの女性(37)は、支給されていた手当四万二千三百七十円(全額)が一万六千百四十円に減額されました。
「新聞の販売店で午前二時から配達をし、新聞の拡張と集金で夜八時まで仕事をしていました。配達のとき両足首のじん帯を切断したため入院して、手術をしました。職場におりづらくなり、退職しました。その後、仕事が見つからず、カードでお金を借りて生活しなければなりませんでした。児童扶養手当は前年度の収入で決定され、減額の通知がきました。三月には子どもが中学校入学です。せめて、児童扶養手当は、現状の生活実態で認定してください」と陳述しました。
代理人の関藤さんは、「今回の減額は児童扶養手当法に違反している。児童憲章は、すべての子どもは人として尊ばれ、良い環境のなかで育てられるとうたっている。国の責任で保障されるべきです。意見のいえない子どもたちに代わって訴えたい」とのべました。
全国で児童扶養手当を受ける七十万人のうち三十三万人が減額されています。