2003年2月22日(土)「しんぶん赤旗」
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「受刑者の最後の頼みの綱を断ち切るのか」――怒りの声が野党席からいっせいにあがりました。
二十一日、名古屋刑務所事件をめぐる衆院予算委員会での集中審議で、日本共産党の木島日出夫議員が森山真弓法相の責任をきびしく追及しました。
木島氏がとりあげたのは、刑務所内での人権侵害などを受刑者が法相に直接手紙で訴える「情願」の権利。法相自身が開封、決裁することになっていますが、これが矯正局職員にまかされていたことが、明るみに出ました。
木島氏の「決裁権限・義務を大臣以外の者に委任する法的根拠があるのか」という質問に、森山法相は「専門家でないので何ともいえないが、国家行政組織法その他に(規定が)あるのではないか」など無責任な答弁をしました。
中井憲治矯正局長が答弁に立ちましたが説明できず、審議が中断。急きょ秋山收内閣法制局長官を呼び出して審議を再開。「大臣の権限事項について、内部的意思決定を補助機関で行うことは戦前からやっている。どの省庁も同じではないか」などと秋山長官ものべ、法的根拠についてはまともに答えませんでした。「答弁になってない」「立法趣旨をわかっていない。大臣失格だ」――議場は騒然。
木島氏は監獄法の条文も読み上げ、「情願は受刑者が自らの命を守る最後のとりでだ。この決裁権限を下級官僚に一般的に委任できるようなものではない」と一喝。「違法のやり方を明治時代から続けてきた。その根本が問われている」と批判しました。