2003年2月23日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 数年前に献金攻勢で導入されたという「定期借家制」とはどういうものですか。(東京・一読者)
〈答え〉 「定期借家制」とは、二〇〇〇年三月に施行された借家契約制度で、契約期間が満了になると無条件で解約するか、家主の一方的な条件で再契約をすることになります。一九九九年に自民・自由・公明・民主などの賛成で成立した「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」により導入されました。
従来の借家契約では、不利な立場にある借家人を保護するため、契約期限がきても、家主に「正当な事由」(家主自身が使用する必要など)がなければ契約を更新することになっていました。しかし定期借家制による契約では家主は通知によって、借家人に契約期間終了後の立ち退きを迫ることができます。
また業務用の建物や二百平方メートル以上の居住用建物は借家人の中途解約も認められず、残りの家賃も払わされます。
なお、定期借家制は二〇〇〇年二月以前からの契約には適用されず、居住用建物の場合は再契約でも「当分の間」定期借家制は適用されません。また定期借家契約では、家主はあらかじめ、定期借家制を適用する旨を記載した書面の交付と説明を義務づけられており、これをおこたった契約は無効です。
定期借家制は、はじめは自民・社会・さきがけ三党の議員立法として法務委員会に付託されましたが、世論の反対で法案審議もできず廃案となりました。ところがその国会会期末の九九年七月、自民・自由・公明三党が同趣旨の議員立法を突如提案し、法案は業界とのかかわりの深い建設委員会に付託され、同年十二月にスピード審議で成立しました。この時期に不動産業界から自民・公明議員に二億円余の献金が渡ったことが本紙報道などで明らかになりましたが、定期借家制の真のねらいが、ゼネコンらの再開発のための借家人追い出しであったことを裏付けています。
(水)
〔2003・2・23(日)〕