日本共産党

2003年2月23日(日)「しんぶん赤旗」

“医療費三割負担やめよ” 高まる声

公明党 抑え込みに躍起


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野党議員が反対するなか、自民、公明両党などが医療改悪法案を強行採決=2002年7月25日、参院厚生労働委員会

 サラリーマンなどの医療費自己負担を三割に引き上げる負担増の凍結を求める世論が高まるなか、改悪実施の先頭に立つ公明党が大あわてです。十九日には神崎武法代表が、北海道議会で採択された「医療費三割自己負担の実施延期を求める意見書」に道議会の公明党が賛成したことに「遺憾」を表明。二十一日には、公明新聞の一面と二面を使って「なぜ三割負担が必要なのか」の弁解を大特集するなど、凍結要求の抑え込みに躍起です。

北海道議会意見書めぐり

公明党ドタバタ

 北海道議会の意見書は、道医師会の要望や、北海道労働組合総連合(道労連)、新日本婦人の会などの請願が出されるなか、日本共産党、自民、民主、公明各党など議会の六会派すべてが共同で提出し、十四日に全会一致で可決されました。

 意見書は、医療費自己負担の引き上げが「さらなる景気の冷え込みと給与所得者の生活を一層悪化させるとともに健康にも影響を与えかねない重大な問題」だと指摘し、三割負担の実施延期を国に求めています。(全文別項)

 これについて公明党は、前日の十三日には意見書の提出を了承していました。ところが十四日の朝になると、党中央の影響で態度を一転させ、本会議が約二時間半も中断する事態となりました。

 北海道新聞十五日付「医療費めぐり公明ドタバタ」の記事によれば、「(十四日朝)党本部の冬柴鉄三幹事長が、自民党の山崎拓幹事長を通じて自民党道議に『意見書に慎重な公明党に配慮してほしい』と働きかけた」ことで議論は振り出しにもどったものの、最終的には公明党が「『…負担増への反発が強い支持者の手前もある』と折れ、意見書は全会一致で可決された」というのです。

 これに対して神崎代表は「党中央幹事会の方針に従わなかったのは遺憾だ」と発言したのです。

 道議会の意見書と、それを抑えにかかった公明党と、いったいどちらに道理があるのか――答えは、この間の国会論戦などを通じても明らかです。

 すでに昨年十月から負担増が実施された七十歳以上のお年寄りの場合、大幅な負担増のために、在宅酸素療法の患者をはじめ治療が続けられなくなるなど、命を削る深刻な事態を引き起こしています。ぎりぎりになるまで病院に行くのを我慢することで病気の重症化を招き、医療費を増大させて保険財政の危機を加速させることにもなります。

 また、不況のもとでの負担増押しつけは、家計にも打撃を与え、景気悪化で税収や保険料収入の落ち込みにもつながります。

 負担増の押しつけは、医療保険の赤字の悪循環をまねき、かえって制度を「持続不可能」にするのです。

“負担増は医療費増大招く”

かつての主張どこへ?!

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 公明党は、「国民皆保険制度を将来にわたって守るため」には負担増が避けられないと繰り返し強調。負担増の先送りは「医療保険財政をさらに悪化させ、より大きな負担増として国民にハネ返ってくる」などと、国民を脅して、実施凍結を求める声を抑え込もうと必死です。

 しかし、いま負担増を強行すれば経済や国民の暮らしにどんな悪影響を与えるかという問題については、いっさい口をつぐんだままです。

 三割負担を正当化する同党のあれこれの言い分は、これまでの同党自身の主張とも正反対のものです。

 たとえば、一九九七年九月の健保本人二割負担導入の際、公明党は、「(負担増で)病院へ行くのを手控えるようになれば、…かえって医療費の増大を招くことにもなりかねません」(公明新聞、九七年八月十八日付)と“警告”していました。

 また、九七年に当時の小泉純一郎厚相が三割負担導入などの負担増計画を発表したときには、「患者負担増はもう限界」(同八月十六日付主張)、「『だれでも、どこでも』受診を可能とすることを基本としてきた国民皆保険の理念を自ら崩すことになる」(同八月二十六日付)と批判していました。(図)

 九八年の参院選では「医療費の負担増に反対」と公約し、公共事業の見直しなど「徹底したムダ削減で年間十兆円程度の財源確保は十分に可能」(法定ビラ)と主張。さらに二〇〇一年の参院選でも、全国保険医団体連合会のアンケートに「三割負担には反対」と答えるなど、再三にわたり負担増反対を公約してきたのです。

 “制度を維持するために負担増が不可欠”という公明党の言い分は、自分たちの過去の主張にてらしてもなりたたないものであると同時に、国民への公約も踏みにじるものです。

 自民党の悪政を必死に支え、推進するという点では、いまや“本家”自民党も顔負けの公明党。国民がどんなに苦しもうが、それほど政権にしがみつきたいのでしょうか。


北海道議会が採択した

医療費三割自己負担の
実施延期を求める意見書

 給与所得者本人が医療機関の窓口で支払う医療費自己負担の割合が、本年四月から現行二割が三割へ引き上げられることとされている。

 本道は、全国平均より速いスピードで高齢化が進んでおり、また非常に厳しい経済・雇用情勢にある中で、医療費自己負担額の引き上げは、さらなる景気の冷え込みと給与所得者の生活を一層悪化させるとともに健康にも影響を与えかねない重大な問題である。

 もとより、高齢化社会にあって、医療保険制度の抜本改革が必要であることは言うまでもないが、診療報酬の改定や、昨年十月から実施されている高齢者の医療費自己負担の増により、政府管掌健康保険の収支見通しにおいても好転が見込まれるとの試算も出されていることなどを勘案すると、こうした一連の医療費制度改革の効果を見極める必要がある。

 よって、国においては、健康保険の医療費三割自己負担の実施を延期するよう強く要請する。

 以上、地方自治法第九九条の規定により提出する。


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