2003年2月23日(日)「しんぶん赤旗」
日本共産党の矢島恒夫議員が十九日の衆院予算委員会でとりあげた産業廃棄物の大量不法投棄問題(群馬県内の利根川河川敷)は、日本共産党の現地調査によって、長年この問題を放置してきた行政、警察当局を大きく動かしています。質問は、投棄現場の深刻な環境汚染を明らかにするとともに、産廃業界と暴力団、政治家のつながりにもメスを入れ、早急な対策を迫りました。
矢島議員 群馬県太田市の利根川、石田川の合流地点に大量の産業廃棄物が埋められている。昨年十一月、日本共産党県議団と国会議員団が現地調査し、掘ったらものすごい悪臭で近寄れない。涙が出てくる状況だった。
鈴木俊一環境相 日本共産党の掘削調査時の分析結果で、一部有害物質の濃度の高い状況は環境省もお知らせをいただいている。…責任ある者に撤去等ができるよう、適切な対応をしたい。
党議員団は掘削地点の汚染物質のサンプルを国際的に権威のあるカナダの分析会社に送りました。その結果、環境基準の四十六倍のダイオキシン類が検出されました。
近くを流れる利根川水系は首都圏千八百万人が飲み水として利用しています。「何としても早く解決しなければならない」と迫る矢島議員。鈴木環境相は、濃度の高い有害物質を認めながら「直ちに危険な状況とは思えない」と県の水質監視にまかせる姿勢です。
不法投棄の目撃者による告発文書を地元、太田警察署は三年間も握りつぶしていました。
矢島 二〇〇〇年二月、告発文書を出したが、どう処理したか。
瀬川勝久警察庁生活安全局長 群馬県警によれば情報提供ということだ。特段の対応をすることもなく、保管していた。昨年末の共産党の試掘の結果をふまえ、群馬県警が二月六日から大規模な試掘をおこなった。本格的な捜査を開始し、全容解明に努めている。
矢島議員は「握りつぶされた」「三年間も放置したのはなぜか」と追及。警察と暴力団との癒着も告発されていることにふれ、不法投棄の実行者とされる人物の不審死をただしました。火災による一酸化炭素中毒死が死因とされていますが、家族の証言をまじえた矢島氏の質問にたいし、栗本英雄警察庁刑事局長は「現在、群馬県警では放火の可能性も十分視野に入れ、全容解明のため鋭意捜査をおこなっている」と答えました。
不法投棄の放置に政治家秘書もからんでいることを、矢島議員は明らかにしました。
矢島 岡部という政治家の元秘書が、いつも立ち会っていた。(不法投棄場所で)盛り土をするときも、(その)許可をとるのに口をきいてやるよと。県の証言で、必ず同席していた。元秘書を事情聴取したか。
栗本刑事局長 警察としていろいろな観点から捜査をおこなっている。具体的人物の聴取は答弁を差し控える。
岡部俊明氏は自民党の谷津義男衆院議員の秘書でした。矢島議員は、ある産廃業者が“ダンプ一台三十万円の産廃を十万円で受けてきて、五万円は先生(政治家のこと)に渡り、自分は五万円しか残らない。正規の産廃はダンプ一台六十万円が相場だが、不法投棄すれば安くあがるので、末端が安く請け負い、不法投棄することになる”とのべていることを紹介。政治家とのかかわりで不法投棄の捜査に手心を加えているのではないかとただしました。
谷垣禎一国家公安委員長は、「早く事件の全容を解明して解決することで(警察の)信頼を回復していく。すでに警察庁から県警に対していろいろ指導している」と答弁。
矢島議員は「埋めっ放しにしておくことは考えてないはず。早急な対応が必要だ」と大臣の現地調査を提案。
鈴木環境相は、「昨年十一月、御党の試掘調査に環境省職員も立ち会っており、事情は承知しているつもりだ。問題意識を持ち、関係省庁とも連絡を密にしながらしっかり取り組みたい」とのべました。