2003年2月26日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 小泉内閣の四兆円負担増計画が、橋本内閣の九兆円負担増にもまして経済に深刻な影響を与えるというのはどういうことですか。(兵庫・一読者)
〈答え〉 一九九七年の橋本内閣による消費税増税・医療改悪など九兆円の負担増は、GDP(国内総生産)の六割を担う家計の足を引っ張り、わずかながら回復の兆しをみせていた経済を大きく落ち込ませました。
小泉内閣の社会保障改悪・庶民増税による負担増は、四兆円で、橋本内閣の九兆円とくらべると金額は少ないのですが、国民の暮らしと経済に与える打撃は、より大きなものになります。
橋本内閣の九七年当時は、不況のなかでも国民の所得は全体として伸びつづけていた時期です。内閣府「国民経済計算」の雇用者所得(雇用者報酬)は、九四年度の二百六十兆円から九七年度の二百八十五兆円へと年五兆円以上伸びていました。ところがいまは、所得は大きく落ち込み、二〇〇一年度までで二百七十六兆円、年二兆円以上のマイナスとなっています。(数値は新しいGDP推計方式による名目ベース)
国民の所得が大きく目減りしている時期に、家計に四兆円もの負担増をかぶせることは、経済に計りしれない打撃となるのは明白です。しかも昨年一月から十二月までの雇用者所得速報値は前年比六兆円減の二百七十一兆円となり、小泉「構造改革」路線のもとで所得減少の加速傾向さえみられる状況ではなおさらです。
しかも、このような家計への負担増政策は、税収や社会保障の空洞化をかえって深刻にします。橋本内閣の九兆円負担増がきっかけとなって、国と地方の税収合計が二〇〇三年度には九七年度から十五兆八千億円減、保険料と資産収入をあわせた社会保障収入も二〇〇〇年度には九七年度から四兆八千億円減となりました。財政や社会保障の立て直しの方策としても誤っています。
(清)
〔2003・2・26(水)〕