2003年2月27日(木)「しんぶん赤旗」
四月からの医療費三割負担の実施を前に、地方の議会でも延期や凍結を求める意見書などが採択されていますが、公明党だけが反対というケースが相次いでいます。二十五日に意見書を可決した三重、徳島、鹿児島の県議会でも、反対したのは公明党議員だけでした。北海道など公明党議員が賛成した議会でも、党本部が反対を指示して二転三転するなど醜態をさらしています。
意見書は、三割負担を導入した与党の自民党や保守系の議員も賛成したものです。公明党だけは、国民の痛みに目を背けて、三割負担推進の立場に立ち続けているのです。
各地の地方議会で医療費三割負担にたいする延期や凍結の決議が相次いでいるのは、住民に押しつけられる重い負担やその結果としての受診の抑制、経済の悪化などが、見過ごせない大問題だからです。
「長引く経済の低迷等の中での医療費の自己負担の引き上げは、給与所得者の生活を一層悪化させるとともに、診療の手控えによる疾病の悪化が懸念される。また、消費を手控えさせることから景気浮揚に悪影響を及ぼし、経済の活性化を妨げることにもなる」(徳島県議会)
文字通り国民・住民のくらしと健康の破壊にたいする、やむにやまれぬ気持ちです。公明党の反対はこれに敵対しているのです。
もし、政府がいったん三割負担を決めれば、どんなに国民がその延期や凍結を求めても耳を貸そうとしないというのでは、国民・住民の代表としての資格はありません。国民が困っているとき、少しでもそれを軽くするよう努力するのが政治の責任です。公明党の態度は、その責任を投げ捨てるものです。
かつては医療費の三割負担に、「早期治療、早期快癒が可能だったものが重症になるまで放置されてしまう」「かえって医療費の増大を招く」から反対というのが、公明党自身の公約でした。ところが自民党の政権に参加すると、公約は投げ捨て、公明党出身の坂口厚労相を先頭に、ひたすら三割負担導入の推進役を果たしているのです。「凍結」意見書への反対は、その新たな証明です。
公明党はいま機関紙の公明新聞などで、医療費三割負担の弁解に躍起です。しかし、「国民皆保険」を守るためとか、三割負担を凍結すれば政管健保が破たんするなどというのはまったくのいい逃れです。
公明党自身もかつては主張していたように、一割負担から始まって、二割の次は三割と繰り返されてきた負担増そのものが、受診を抑制し、保険財政を危機に追いやっているのです。ほんとうに「国民皆保険」を守ろうとするなら、まず三割負担を凍結すべきです。政管健保も、九二年に「暫定的に」引き下げられた国庫負担率を元に戻し、過去十年間の削減分を計画的に繰り入れるべきです。それをしないで破たんするなどといいつのるのは、国民への悪質なおどしでしかありません。
公約違反と悪政推進の公明党が、三割負担の凍結を求める日本共産党などにたいし、「不安をあおるだけの共産党」(公明新聞「主張」)などの悪ばを投げかけているのは噴飯ものの居直りです。不安をあおり、悪政を押しとおそうとしているのは公明党自身ではありませんか。
戦争反対の声には「利敵行為」(公明党冬柴幹事長)とどう喝し、三割負担凍結の声には耳を貸さない。こんな公明党が「平和の党」でも「福祉の党」でもないのはいよいよ明白です。
国民のきびしい批判が、小泉内閣とともに、公明党に向かうのは免れません。