2003年2月27日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本共産党はEUと同様の農家の価格・所得保障を要求しましたが、EUの価格・所得保障はどうなっていますか。(栃木・一読者)
〈答え〉 小泉内閣の二〇〇三年度の農林水産関係予算案は三兆一千百億円となっていますが、その半分を超える一兆五千七百億円は、公共事業が中心の「公共投資関係費」です。他方、農産物の価格・所得関係予算は七千七百五十億円と、農業予算(林・水産業のぞく)二兆三千七百億円の、三分の一にもなりません。
これは、農家への価格・所得保障が農業予算の主役であるEU諸国では、考えられないような逆立ち予算です。農林水産省資料などによれば、EU予算では価格・所得関係が87%(二〇〇〇年)、各国別でもイギリス74%(同)、フランス67%(一九九九年)、ドイツ71%(同)などとなっています。
政府は現在40%の食料自給率を45%に高める目標をかかげていますが、実際には輸入を野放しにし、価格・所得保障予算を削減してきたため、国内生産は衰退し続けています。日本共産党は二月二十日に政府予算の抜本的組み替え要求を発表し、農業分野では、政府目標達成のためにも「EU諸国と同様の農家の価格・所得保障を実施する」よう求めました。
EU諸国は、各国政府がそれぞれの自給率向上にとりくむとともに、域内の農産物供給が需要を上回った場合にEUが買い入れて価格を支えるといった、「共通農業政策」(CAP)にもとづき生産を増大させてきました。この努力の中で、一九六〇年に穀物自給率が50%だったイギリスが八一年には自給を達成、七〇年に70%の穀物自給率だった旧・西ドイツが八八年には100%を超えるなど、域内自給をほぼ達成しました。WTO協定のもとで価格保障予算は減らしていますが農業予算は減らさず、条件不利地の経営支援や環境保全機能強化をはじめ、農家の経営と農村を守る政策にまわしています。
(博)
〔2003・2・27(木)〕